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広島カープのキャンプに突撃!〜島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

島田洋七
島田洋七 (C)週刊実話Web

憧れのプロ野球選手との思い出を振り返ると、俺は山本浩二さんなどの先輩方に可愛がってもらうことが多かったですね。

漫才ブームの頃、平日昼の12時からスタジオアルタから公開生放送していた『笑ってる場合ですよ!』という番組の司会を月曜日から金曜日までB&Bが担当していたんです。

ある日、番組スタッフに「いつもスタジオ生放送なので、今度、外から生中継したいんです。どこがいいですか?」と聞かれました。広島東洋カープファンの俺は「宮崎県の日南でやっている広島のキャンプからの生中継がいいんじゃないですか」と提案したら、本当に日南から生中継することになったんです。

生中継前日、宮崎空港から泊まる予定のホテルにタクシーで向かうと、ホテルの玄関に4人の選手が立っているのが見えた。赤ヘル旋風を巻き起こした山本浩二さん、衣笠祥雄さん、高橋慶彦さん、北別府学さんが仁王立ちで待っていたんですよ。飲みに行ったりする仲の浩二さんから「遅いな。夕飯を一緒に食べようと思って予約してあるから。早く支度して行こう」と誘われて、相方の洋八、マネジャー、そして4人の大スターと夕飯を食べに行きました。さすがに、キャンプ中なので、4選手ともお酒をほとんど飲みませんでしたけどね。

翌朝、練習を見学して12時から番組の生放送が始まった。すると、浩二さんが「俺がピッチャーやるから、洋七と洋八がバッターボックスに入って打て!」と指示出し。守っているのは、前年の日本シリーズを制した広島カープのレギュラーメンバーですよ。野球少年だった俺からしたら、夢みたいな光景でしたね。

カープの選手たちが大笑いしたワケとは…

いざ、浩二さんが投げた球を打ったら、バットに当たったんですけど、何か変だなと思ったんです。守備に就いている広島の選手たちもみんな大笑いしている。よくよく見ると浩二さんが投げたのは野球のボールではなくゆで卵だったんです。

野球のボールと一緒で白いから分からなかったんですよ。それにプロ野球選手が、まさかそんなことするとは思わないでしょ。次に、洋八がバッターボックスに入って打ったら、またもゆで卵。カープの選手はまた大爆笑でしたよ。

浩二さんからは「2人とも結構野球うまいね」と褒められ、次はキャッチャーフライを機械で上げてボールをキャッチするという企画コーナーに移りました。これはものすごく難しくてね。5回挑戦したけど、1回も捕れませんでした。浩二さんが1球でも捕ったら、1万円くれるとニンジンをぶら下げてくれたんですけどね。

日南からの生中継は大成功。前の週に「来週は広島カープの日南キャンプから生中継します」と告知していたから、球場の観客席は満杯になった。キャンプにお客さんが5000人も来るのはなかなかないでしょ。球団の方々からも「全国的に良い宣伝になりました。ありがとうございます」と感謝されて嬉しかったね。

プロ野球選手を夢見ていたカープファンの俺が、まさか前年日本シリーズを制したメンバーと野球ができるなんて夢にも思わなかった。今でも良い思い出です。

島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。

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