北海道や青森県でブリの大漁が続いている。北海道・函館市は古くから〝イカの街〟として知られるが、ここ数年は地元住民がブリの食文化づくりに着手し、〝ブリの街〟に変貌しようとしている。
「スルメイカの記録的な不漁が続く中、2010年以降はブリ漁獲量が年々急増。19年には特産のスルメイカを上回りました」(漁業情報センター関係者)
中国漁船は能登半島沖の好漁場「大和堆」で違法操業を行い、年末は津軽海峡に北上するスルメイカを待ち受け、日本漁船が操業している海域の西側で根こそぎ捕獲してしまう。
「中国漁船は違法操業で、年間15万トンのスルメイカを乱獲している。日本の漁獲量の10倍に上るため、函館市は大打撃を受けてきました」(水産庁関係者)
函館市内のグルメライターによると、「函館市場の名物はイカの活き造りですが、イカの不漁で値段を上げざるを得ない。客足が遠のいて廃業する店も出ています」という。
海の異変は明らか…
また、北海道では地球温暖化の影響で海水温が上昇し、イカだけではなくサンマや秋鮭の不漁が続いている。一方、オホーツク海ではブリやマグロの群れに加えて南の海に生息するシイラが獲れるなど、海に異変が起こっている。
函館市など11市町村を含む「渡島総合振興局」によると、管内でのブリの漁獲量は08年に325トンだったが、20年には34倍超えの1万1128トン。今年も豊漁が続いており、渡島管内が漁獲の6割を占めて、ブリの一大産地になっている。
イカの不漁が続く函館市にとって、ブリの豊漁は願ってもないビッグチャンス。地元は飲食店とコラボしたメニュー作りや『ブリフェス』などを開催している。
「その中で生まれたのが、新グルメの『函館ブリたれカツバーガー』なんです。赤カブ千枚漬け、真昆布のペーストなど、ブリ以外にも地元の食材を取り入れ、若者にも好評ですよ」(道内のグルメライター)
函館市がイカの街からブリの街に変わるのは、至極賢明かもしれない。
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