コロナ禍で大打撃を受けている外食産業の中にあって、回転寿司チェーンの善戦が目を引くが、実はラーメンが人気メニューになっているという。
「回転寿司大手のスシローでは、ラーメンが年間990万杯も食べられている。ほかのチェーンも含めると年間3000万杯以上といわれ、苦戦を強いられているラーメン店にとっては脅威ですよ」(フードライター)
経済産業省の調査(2016年)によると、全国のラーメン店は約1万8000店だった。ところが、新型コロナウイルスの影響で、昨年は過去最高の46店が倒産している。
コロナ禍による外出自粛で、飲食店はテイクアウトやデリバリーで急場をしのいでいるが、ラーメンは麺が伸びるために不向き。小さな店は値段を上げるか、閉店するかの二者択一を迫られている。
「回転寿司のラーメンは、どの店も専門店に負けない味を出している。しかも、一杯800円前後する専門店に比べ、回転寿司のラーメンは麺が少ないものの、一杯300円前後と格安なんです」(飲食ジャーナリスト)
寿司屋で魚介類が苦手な人向けのメニュー
回転寿司にラーメンが登場したのは、サイドメニューが多様化した12年ごろから。子供向けのプリンやアイスクリームと同様、魚介類が苦手な顧客向けに発案されたという。
「ブームの発端になったのは、くら寿司が12年に『7種の魚介醤油ラーメン』を販売したことです。2年後、スシローが『出汁入り鶏がら醤油ラーメン』で続き、回転寿司にラーメンが定着しました」(同)
また、はま寿司は『北海道紀行』と銘打ったフェアで、濃厚味噌、バターコーン味噌、辛味噌という3種類のラーメンが人気を呼び、1日で2万1000杯も売れた日があったという。
「がってん寿司は『三元豚チャーシュー麺』、かっぱ寿司は『濃厚魚介ラーメン』を提供しており、各チェーンはラーメンの新規メニューを開発するため躍起になっています」(前出・フードライター)
回転寿司がラーメン店を窮地に追い込む。世知辛い世の中になったものだ。
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