万全を期したはずだが、今夏の甲子園は「史上最悪の大会」として半永久的に語り継がれそうだ。連日の雨の影響で、決勝戦は8月29日に先送り。試合日程が翌日以降に順延されたのは計6回と、過去最多である。
天候は仕方ないとしても、問題は新型コロナウイルスの感染防止策だ。宮崎商に次いで、東北学院(宮城)からも感染者が出て、出場を辞退してしまった。
この東北学院の辞退により、21日の2回戦で松商学園(長野)が不戦勝となったが、異変が報告されてからの高野連の対応に、疑問の声が多く寄せられた。
「1回戦を勝利した東北学院は、その後の13日にPCR検査を受けました」(アマチュア野球担当記者)
これは「大会前と大会中の検査」を決めていた高野連の指示によるものだ。その後、計4人が濃厚接触者と認定されたのだが、出場辞退を決めたのは学校側。高野連は何をやっていたかというと、対策本部を立ち上げただけで、あとは辞退を受理してお仕舞いだ。
具体的にどう動くのか何も決めず…
「6月2日、高野連は大会開催に向け『感染者が出た場合は対策本部を立ち上げ、速やかに対応する』としましたが、具体的にどう動くのか、ほぼ決めていませんでした」(大会関係者)
高野連の「球児のために大会を」の気持ちは分かる。しかし、同じ時期に開催された北信越総体2021(インターハイ)は、「感染が確認されたら棄権させる」と明確に決めていた。
「一見、インターハイの方が残酷に見えますが、棄権か、当該生徒を外して試合を続けるかの二択を学校に決断させる方が、心の傷は深い。非難を浴びる覚悟を決めていたインターハイは立派です」(同)
不戦勝の手続きだけなら、対策本部を立ち上げる必要もなかったはずだ。
非難はコロナ対策だけではない。雨天コールドで試合を無理やり消化させたことでも、バッシングがあった。こちらは「翌日、中断した時点から試合再開の新ルールを作ろうか?」と話していたが…。運営が右往左往したせいで、甲子園に黒歴史が刻まれたようだ。
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