コロナ禍でリモートワークが当たり前になり、都会から地方都市へ移住する人たちが増えている。しかし、縄張りに縛られ、おいそれと〝越境〟できないヤクザたちの間では、都会と田舎の「地域格差」が生じているという。実際、都会と田舎でヤクザの生態はどう違うのか。
かつては連日ネオン街で羽振りよく遊ぶのが「仕事」といわれ、人気のある者に金も集まるとされたヤクザ業界。だが、社会的な逆風が吹き荒れる近年では、顔を売るのも一筋縄ではいかず、目立ちすぎれば警察から潰される可能性が高くなる。
そのため、大きな繁華街に縄張りがあれば稼げるとも限らず、都会と田舎では台所事情がずいぶん異なるようだ。
「以前は組の柱を支える収入源だった『みかじめ料』ですが、大都市ほど(店から)取りにくくなりましたね。というのも、(ヤクザと)付き合いの長い経営者ほど、〝揉めた組織のほうが大きければ、何もできない用心棒〟をさんざん見ていますから。正直、アガリは全盛期の100分の1。どこも義理事で祝い金や参加費を集めて食いつないでますよ」(都会親分・60代)
田舎はまだまだショバ代で食える
「ウチのように、ネオン街に一つしか看板(ヤクザ組織)がないような田舎では、まだまだショバ代で食えますね。嫁や愛人に店を経営させても今のところ(警察からの)手入れはなく、カタギのお客さんも普通に集まります。選挙のたびに金を借りに来る議員なんてのも、いまだにいますよ(笑)」(田舎親分・60代)
近年では都会、田舎に限らず、若い世代は合法的な会社や店を経営する例が一般的である。
ところが、やはり大都市であるほどカタギの関係先との付き合いが難しくなり、こっそり違法ビジネスにシフトする者が増えるようだ。
「会費(上納金)で食える親分衆ほど、『ジジババだます仕事なんて外道のやること』『薬物は扱うのも厳禁』と言いますが、今の若い連中にとってはそういうシノギしかないですから。おまけに、最新ベンツなんか乗ってると上からガジられる(吸い上げられる)ので、親分や兄貴分の前ではプリウスに乗り換えて、金を持ってないふりをしています。本当の懐具合は意外に分からないものですよ」(都会幹部・40代)
〝6畳間に住んでもベンツに乗れ〟という業界の教えは、少なくとも都会では時代錯誤となっているようだ。