テレビ各局が密かに恐れているのが、俳優・松重豊が主演のドラマ『孤独のグルメ』。この7月からスタートする〝Season9〟に視聴率を喰われないかと、怯えているのだ。
同作は、輸入雑貨業を営む主人公・井之頭五郎(松重)が、自身の食欲の赴くまま見つけた食事処に立ち寄り、誰にはばかれることなく自由に食する異色のドラマだ。
「恋愛もなければ、事件も発生しない。オッサンが1人、B級グルメをただ食べるだけなんです」(事情通)
9年前にドラマが始まった当初は、「1クールで終わりだ」と業界関係者の誰もが思っていた。ところが、気が付けば今回で9回のシリーズが制作される人気番組に成長したのだ。
「世帯視聴率は深夜帯ながら4~5%を取っている。20~49歳のコアターゲットは視聴率8%台。根強いファンを抱えているんです」(テレビ局関係者)
総制作費1本180万円弱の低予算
しかし、その舞台裏は驚くほど地味だという。まず度胆を抜かれたのが制作費だ。
「通常、深夜帯ドラマは他局なら1本当たり最低800万円~が相場。でも『孤独――』は違う。総制作費は1本当たり、わずか180万円弱です。松重のギャラが30万円~。ほかゲストとエキストラに20万円~。残りは、ディレクターやスタッフの人件費、編集費、機材費、車両費が込みで入っている。こんな金額が成立するのは、飲食店を借し切るオールロケだから。美術セットも必要ないんです」(同・関係者)
さらに、ドラマの柱となる松重の1人語りも、基本は撮影現場で撮り終えてしまうという。
「店先やロケ車でチャッ、チャッと終わらせてしまうんです。これは、食事の感想やお店の雰囲気などを忘れないため。もちろん本音は、制作費削減の目的も隠されている」(制作関係者)
このコロナ禍、万難を排して撮影にのぞんでいる『孤独――』。唯一の懸念は、年齢とともに衰えつつある松重の食欲だという。
「ドラマの売りはガチンコで挑戦する松重の食べっぷりにある。完食ができなくなったら即、終了です」(同・関係者)
松重の食欲よ永遠なれ。
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