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腱鞘炎の原因と対処法~『痛みの悩み相談室』(監修/井尻慎一郎先生)

『痛みの悩み相談室』~腱鞘炎の原因と対処法(監修/井尻慎一郎先生) 
『痛みの悩み相談室』(C)週刊実話Web

腱は筋肉と骨を結合する強靭な線維性の結合組織で、代表的な腱としては、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶアキレス腱があります。大きな筋肉の力が細い腱に集中するために炎症や痛みを起こしやすい部位です。

腱を使いすぎると疲労や炎症が生じますが、これを腱炎といいます。また、腱には腱鞘というトンネルのような組織に取り囲まれている部位があります。腱鞘は腱が浮き上がらないように押さえ込み、筋肉の力が骨に伝わりやすい役割を果たしていますが、この2つが擦れることで痛みが生じる場合があります。これを腱鞘炎といいます。さらに指の腱が腫れて腱鞘内を滑る時に引っかかってカクカクする症状を「ばね指」といいますが、これも腱鞘炎の一種です。

なるべく同じ動作を続けすぎない

腱炎も腱鞘炎も治療の基本は同じで、なるべく同じ動作を続けすぎないことです。途中で休んだり、ストレッチをしたりするなど、緩急をつけることが大事です。夜間には安静にしますが、昼間は痛みがあっても少しずつ動かしたほうがいいです。

痛みの程度に応じて湿布やクリームを使用しますが、経口の消炎鎮痛薬はあまり効果がありません。痛みが強い場合は、感染に弱い糖尿病や眼圧が上がりやすい緑内障などがなければ、ケナコルトAなどの持続性のステロイドホルモンを少量、腱鞘内に注射すると劇的によくなることが多いのですが、腱や腱鞘が弱くなることもあるので回数を制限して注射します。

監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp