西側と中国の原子力潜水艦が、激しい水中戦を展開する。
まるで映画のような話だが、海洋進出を進める中国に対抗するアメリカ、イギリス、オーストラリアの安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」に日本が協力する見通しとなった。
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外交戦略上、日本は枠組みに正式参加するのではなく、パートナー的位置づけで限定的に協調するとみられているが、今後は原潜に日本の技術が導入されるかが注目されているのだ。
安全保障アナリストが言う。
「AUKUSは2021年9月に結成された枠組みで、オーストラリアに原潜を供給するほか、新たな原潜の開発を目的としています」
この枠組みが創設されたのは、中国が東シナ海から南シナ海、太平洋やインド洋に進出し、西側諸国の安全が脅かされているからだ。
「数カ月単位の潜航も可能で、核ミサイルも搭載可能な原潜を導入することで、抑止力を持つことを目指しているのです」(同)
中国はロシアの技術で対抗
ちなみに現在、中国海軍は約70隻の潜水艦を保有し、うち9隻が原潜だという。
いずれも射程距離約8000キロの弾道ミサイルを搭載しているが、現状ではスクリュー音が大きく、西側の海軍に探知されやすい状態だとされる。
「ただ、中国は現在ロシアから技術を導入して原潜を開発しており、次世代の原潜は探知するのが困難になるとみられている。そのため、西側も最新鋭の原潜を増やさないと、中国の原潜に我が物顔で太平洋を航行されてしまうという危機感を募らせているのです」(軍事ジャーナリスト)
今回「AUKUS」への協力が注目される日本は、当然ながら核兵器を保有しておらず、原潜も保有していない。
「ただ、技術力での協力は可能。日本の潜水艦技術は、スクリューの静かさなどが世界トップクラスとされている。これが原潜に配備されれば、対中国で最強の〝沈黙の艦隊〟が作れるはず。アメリカ、イギリス、オーストラリアはそれを期待しているのです」(同)
文字通り「水面下」では、すでに事態が動き始めている。
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