医師の時間外労働の上限が、原則「年間960時間以下」「月100時間未満」に制限される〝医師の働き方改革〟が4月1日からスタートした。
長時間労働の負担が軽減される医師たちには喜ばしい制度のはずだが、各地の基幹病院の勤務医からは「医師の働き方改革は患者の診療に影響を及ぼす」などと懸念の声が上がっている。
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「医師の働き方改革は、勤務医の労働時間や宿直、休憩時間などの区切りが不明確なケースや、管理の不十分さを解消するために制定されました。しかし、急患の診察や手術が長引いた場合はどうするのか。手術の最中に、『今日は日勤で午後5時半になったから帰ります』などとは到底言えません。医師の2024年問題で、医療現場は混乱しているのが実情です」(医療ジャーナリスト)
実質的な長時間労働も
今回の改革で設けられた基本ルールは、通常の日勤や、「宿日直許可」(十分な休息を取ることなどを条件に、当直勤務の時間帯を労働時間から除外できる特例で、労働基準監督署から受ける許可)のある宿直業務に関しては、始業から24時間以内に9時間の継続した休憩時間を取得(15時間の連続勤務制限)する必要が義務付けられている。
「許可のない宿日直業務に従事する場合は、始業から46時間以内に18時間の継続した休憩時間の取得(28時間の連続勤務制限)が必要となりました」(同)
人口10万人当たりの医師数が全国でワースト2位の茨城県では、医師の働き方改革スタート前に、県内171の病院に準備状況を調査した。
その結果、「宿日直許可を労働基準監督署から得た病院は128にも上ることが明らかになった」(同)というが、こうした傾向は全国的に広がりをみせている。
「働き方改革が患者に与える影響の一方で、宿日直許可についても『適切に運用されなければ、実質的な長時間労働につながりかねない』との懸念の声が現場の医師などから上がっています。今の医療体制を維持しながら、医師の労働時間をどう短縮していくか。非常に難しい局面です」(全国紙記者)
運送業や建設業と同じく、医師の2024年問題も課題は山積みだ。
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