高校野球に「木製バットブーム」が到来しそうだ。
野球のU18(18歳以下)日本代表候補選手の強化合宿が4月4~6日、奈良県で行われた。この合宿は今秋、台湾で開催予定のU18アジア選手権に備えたもの。候補選手39人のうち33人が全国から集まったが、大会では木製バットの使用が義務付けられているため、合宿では同バットを使った練習が行われたのだ。
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合宿2日目の紅白戦でのことだった。今春のセンバツ高校野球大会で初優勝した健大高崎(群馬)の箱山遥人捕手や神村学園(鹿児島)の正林輝大外野手がホームランを放ち、複数の球児たちから「木製バットのほうが飛ぶんじゃない?」との声が飛び出した。
彼らが比較対象にしていたのは、センバツ大会から使用が始まった低反発の新金属バットだ。
今年のセンバツは最少の本塁打数に
「今年のセンバツ全31試合での本塁打数はたった3。うち1本はランニングホームランでしたが、1975年に金属バットが導入されて以来、最少の本塁打数でした。投手の安全を守るために導入された新金属バットは、とにかく〝飛ばない〟のひと言に尽きます」(スポーツライター・美山和也氏)
センバツ大会では、あまりに飛ばないためか、青森山田の一部選手が木製バットを使用していたことが脚光を浴びたほど。
だが、同チームの別の選手は悩んだ末に、金属バットを選んだという。その理由は…。
「資金難です。旧タイプは公式戦で使えなくなったため、各校とも4万円前後する高価な金属バットを一定数確保しようと必死でした。公立校は特に苦労したと聞いていますが、ただ、ここでまた折れやすい木製に切り替えたら、その後も用具代がかさむことになってしまうからです」(同氏)
木製バットは大手メーカーのものでも新金属バットの半値以下で買えるが、その分耐久性に欠け、打ち損じて折れればオジャン。そもそも金属バットが高校野球に導入された背景は、そうした「経費節減」も理由の一つだったのだが…。
木製バットを使う〝昭和回帰の野球〟も見てみたいが、バット問題はまだまだ続きそうだ。
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