史上初の4万円を突破した日経平均株価は、その後も高値を続けているが、庶民の暮らしは一向に楽にならない。
北海道・ニセコでは〝インバウンドバブル〟が、九州・熊本県では〝半導体バブル〟が起きているが、地元民にとっては生活に深刻な支障もきたしているという。
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まず、ニセコ周辺には観光客向けのホテルやコンドミニアム、ブランドショップ、飲食店などが多数出店しているが…。
「一部の飲食店では天ぷらそば3500円、ラーメン3000円、刺身定食4200円と、インバウンドを意識した高額な価格設定になっています」(札幌在住のフリーライター)
ただ、時給2000円以上のアルバイト募集もザラだ。
「コロナ禍ではニセコに観光客が来なくなった。しかし、コロナが落ち着くと再び観光客が押し寄せた。結果、人材の奪い合いが起き、ホテルなどのアルバイトの時給が2000円〜2200円に跳ね上がったのです。時給アップは喜ばしいことですが、このあおりを受けて町の介護事業が人出不足に陥っているのです」(同)
実際、昨年12月には訪問介護事業所が求人難で閉鎖に追い込まれたほどだという。
「閉鎖や統合を予定している介護事業所は他にもある。インバウンドバブルが地元の介護事業を追い詰めているだけに、地元民らは複雑な心境です」(経済誌ジャーナリスト)
家賃高騰と大渋滞
一方、熊本県菊陽町では世界一の半導体メーカー『TSMC』(台湾)の日本工場が2月に開所され〝半導体バブル〟が起きている。
「TSMCが菊陽町に進出したことで、土地の値段は前年から30%以上も上昇した。菊陽町だけではありません。熊本市内の歓楽街も〝工場特需〟の恩恵に浴している。しかし、マイナス面も出てきているんです」(地元関係者)
工場周辺の道路は朝の通勤時間に大渋滞が発生。家賃も以前は5万円で借りられた物件が7万円と高騰し、さらに値上げが予想されている。
「飲食店でも、テナント料や人件費は上がる一方。地元民にとって半導体バブルは痛し痒しなんです」(同)
バブルが招く〝光と影〟は、実に皮肉なものだ。
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