監督・脚本/フリーヌル・パルマソン
出演/エリオット・クロセット・ホーヴ、イングヴァール・E・シーグルズソン、ヴィクトリア・カルメン・ゾンネ、ヤコブ・ローマンほか
配給/セテラ・インターナショナル
アカデミー賞国際長編映画賞・アイスランド代表でショートリストに選出された他、世界29の映画祭にノミネート。世界中でロングラン上映中の注目作です。
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本作のパンフレットには『予測不能な展開に釘付け』などと各メディアによる激奨コメントがズラリと並んでいます。
アイスランドの厳しい自然環境の中でゆっくりと流れる時間がスクリーンに映し出され…世界中の映画評論家たちは本作の深い精神性、たとえば人間の傲慢さと弱さ、残酷性をしっかりと受け取られているようです。
私はというと職業柄なのか、もっぱらエンターテインメント志向。映画に対する根本的な考え方が未熟すぎなのかと自省したりも。
確かに、よもやという劇的なストーリー展開はあるにはありますが、日頃がちゃがちゃした展開の映画を見慣れている自分。時には本作のようにゆったりとした映画も必要なのだと頭までは分かっているものの、正直申し上げると退屈に感じてしまいます。
懐かしいアイスランドの風景に釘付け
ただ、チラシにも『壮大なスケールに、思わず息をのむ』とあるように、確かに〝火と氷の国〟アイスランドの風景には圧倒されました。
約20年前、自分はこの国を旅したことがあります。どんよりとした鈍色の空、思わず思索に耽りたくなるようなモノトーンの風景。スコーンと晴れることはほとんどなく、自殺率が他国より高いと聞いて、さもありなんと思ったことを覚えています。
本作の主人公のデンマーク人牧師は、アイスランドの辺境の村に教会を建てる命を受けて向かうのですが、牧師とは思えない不安定な精神状態に陥ります。
過酷な自然の前ではあまりにも無力な人間。信念を貫き通せない弱さについて、ニューヨーク・タイムズあたりが言葉巧みに表現しようとしているのは分かるんですけど、やっぱり、ねぇ。
さて、今回もまた史実に基づいたストーリーかと思いきや、映画の冒頭に「アイスランドで発見された木箱にデンマーク人牧師が撮った7枚の写真が入っていた、本作はその写真にインスパイアされたフィクションである」旨がテロップで流れます。
気づけば、スクリーンは1.33対1の四角いフレームが採用されていて、四隅の角が丸い黒い縁取りは、古い銀板写真のよう。レトロな雰囲気をあえて漂わせている。こういうあしらいもツウ好みなのでしょうね。
ところで、辺境マニアの自分がアイスランドを推すのは、噴火する火山を間近で見られるところ。本作にも出てきますが、いつかまた行ってマグマが流れる様を見たいものです。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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