監督・脚本/セリーヌ・ソン
出演/グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
今となればバリバリ働いてる読者の皆さんも、小中学校のときはトキメいた相手がいたかと思います。学校の帰り道はいつも一緒で、何かあったときはお互いを支え合ったり、愚痴ったり…。
でも、どんなに大切な相手であっても、学校や住む場所が変われば離れ離れになってしまう。
今回の作品の主人公は、そんな懐かしい思い出に浸りながら、会うことを決めたノラとヘソン。ノラは家族とアメリカに引っ越し、ヘソンはそのまま韓国で勉強。遠い場所にいながらもSNSでお互いを探し当て、テレビ電話で近況や日常会話をするようになる2人。知らぬ間に流れていた24年の月日を埋める時間はあまり掛からなかった。
そして、しばらく経ってニューヨークで再会することを決意する…と、いわゆるアメリカ映画にありがちなラブロマンスな展開。実際、この作品がアカデミー賞作品賞にノミネートされたことを日本の映画関係者の半数は不思議に思ってたらしい。
確かに、ある意味〝王道の恋愛模様〟なんですが、私はなんとなく、〝こういうことなのでは?〟と思うのです。
あのとき好きって言っていたら?
ノラには、すでに夫がいます。アーサーという名のとても優しそうな彼は、ノラとヘソンを見て〝俺は邪魔な白人〟と悲しそうに言う。
三角関係っぽくなると女性が我慢する場面も映画では多いけど、今回の3人は、どのような展開になっても、面白く見ることができそうなんです。
むしろ、あみだくじでエンディングが選べられる仕組みができたら、他人の考え方が分かって面白いかも。だって、結果よりも3人の胸中の複雑さだったり、切なさのすべてが共感を呼ぶから。
でも、こんな状況を招いたのは、あのとき〝好き〟って言えなかった自分たちの責任。つまり、この作品は、アジアならではの「気持ちを我慢する美しさ」がアメリカで受け入れられたのではないでしょうか。
未練はある。でも、何かを成し遂げたいと思う人の心や、同じ国に生まれながらも、少しずつ考え方がすれ違ったりするリアリティー…とっても複雑です。
ノラはグレタ・リー、ヘソンはユ・テオが演じる。私の超個人的な意見ですが、久しぶりに会うとなると、男性は美容室あるいは理容室に行きますが、それがなかなかイケてない。
大事なときのために髪を整えるのであれば、1週間前に切ることをオススメ。この作品で、ふと、それを思い出しました。そう感じるのは女性だけかしら? この話題で大盛り上がり~。
ぜひとも劇場で!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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