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“自公維国”連立の仰天プラン!6月解散を狙う岸田首相の「奇策」

岸田文雄
岸田文雄 (C)週刊実話Web 

永田町で再び衆院解散がクローズアップされ始めた。

公明党は今年9月の自民党総裁選後の解散を主張しているが、これは事実上の〝岸田降ろし〟にほかならない。

対する岸田文雄首相は、そうはさせじと国民が所得税減税の恩恵を受ける6月解散を模索しているが、総選挙となれば裏金問題の影響で自民党が議席を減らすのは必定。そこで、首相周辺からは選挙後に「自民」「公明」「日本維新の会」「国民民主」の4党連立という〝奇策〟が浮上しているのだ。

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全国紙政治部記者が、その顛末を明かす。

「今年の春闘は労働組合の要求に対し、過去最高水準の賃上げを回答する大手企業が相次いだ。そのため、首相サイドは再びこの賃上げの勢いを駆って所得税減税で支持率回復→衆院解散・総選挙とのシナリオを描き出したのです」

通常国会の会期は6月23日までであることから、早くも会期末解散を見越した「7月9日公示・21日投開票」「同月16日公示・28日投開票」などの日程まで飛び交っているという。

その一方、自民党安倍派を中心とした裏金問題のダメージは深刻で、国会の政治倫理審査会で同派幹部が裏金の実態について、「分からない」「記憶にない」「秘書がやった」などと並べ立てるたびに国民の怒りに油を注いでいる状況。おかげで党内では、首相周辺の動きに拒絶反応を示す議員も少なくない。

「解散なんてもってのほかというのが、党内の大勢です。公明党は、現職のいる大阪と兵庫の6小選挙区に、維新が候補者を擁立するとあって、自民党以上に直近の解散は避けたいとの思いが強い。支持率が低迷し続けている岸田首相のままでは戦えないと確信しているのです」(自民党関係者)

事実、公明党では広島3区の斉藤鉄夫国土交通相以外は勝てないとささやかれているほど。支持母体である創価学会の池田大作名誉会長が昨年死去、学会員の高齢化も進み、息も絶え絶えの状態なのだ。

「そのため公明党の石井啓一幹事長は、BS番組で解散時期について『秋が一番可能性が高いのでは』と発言。また、9月の自民党総裁選に触れ『ここで選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる』と暗に岸田氏を排し、新首相の内閣支持率がご祝儀相場で高いうちに解散すべしとのメッセージを送ったほどです」(同)

まんざらでもない維新と国民民主

岸田首相には「支持が広がらず、次期総裁選への出馬も断念せざるを得ないのでは…」との見方も強まっている。

総裁選で再選するには求心力を取り戻すしかないが、その起死回生策として、冒頭で触れた衆院の早期解散と総選挙後の「自公維国」連立政権の樹立が急浮上しているというわけだ。

「もしも、この連立が実現すれば地に落ちた支持率は回復し、政権基盤も安定するはず。首相周辺は連立を餌に野党共闘を阻止して選挙で辛勝。4党連立を実現し、その勢いをもって9月の総裁選に臨み、再選をもぎ取ろうとしているのです」(前出・全国紙政治記者)

問題は実現の可能性だが、魚心あれば水心で、実は両野党との連立は決して難しい話ではないという。

政治アナリストが解説する。

「まず維新ですが、同党は次期衆院選ではそれほど勢力を拡大させることができそうもないとみられている。東北には立憲民主党の安住淳国対委員長(宮城5区)をはじめ同党議員が結構いるが、これに取って代わるのは難しく、首都圏への浸透も進んでいない。結局、関西圏を中心にしか勝てない維新が存在感を示すには、自公と連立を組むしかなく、以前から連立入りを期待する声も少なからず党内に渦巻いていたのです」

岸田首相も、こうした事情は織り込み済み。次期総選挙における自公の議席減を補う意味で日本維新の会の存在は大きいと考え、事あるごとに問題が噴出する2025年開催の大阪・関西万博の準備をサポートしているというのである。

これに対して、国民民主党はガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」凍結解除の実現を目指し、2月上旬までは自公と連携して政策協議に臨んでいた。

ところが、自民党の総裁でもある岸田首相が凍結解除を明言しないことにしびれを切らして離脱。今は立憲民主党と凍結解除に向けた法案作りを進めているが、同党の玉木雄一郎代表が以前から閣僚になりたがっているのは有名な話。そのため、4党連立という自民の申し出は一部で〝渡りに船〟とみられているのだ。

野党担当キャップがこう話す。

「連立入りに否定的だった前原誠司元外相らが昨年11月に新党結成で国民民主党から離脱したため、首相から連立の誘いがくれば、玉木氏は二つ返事で応じるだろうとみられている。そもそもトリガー条項で立民と共闘したのも、自民の気を引くパフォーマンスともいわれているのです」

一方、水面下で共産党との連携が進む立憲民主党は、岸田首相の描く連立案からはじかれているが、首相周辺は「同党も利用価値あり」とみているようだ。

「泉健太代表は、依然態度をはっきりさせていないが、立民は小沢一郎衆院議員が仕掛け人となり、共産と連携。衆院選を見据えて各選挙区の共産候補を降ろさせ、立民候補を支援させるという力業を展開しているという。ただ、共産と立民が距離を縮めれば縮めるほど、維新と国民民主は立民から離れていくため、首相周辺は〝組みやすし〟とほくそ笑んでいるのです」

政界再編の流れから目が離せない。

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