勃発が危ぶまれている台湾有事は「日本の有事」とも言われているが、ここにきて〝一色触発〟の気配が漂ってきた。
2月14日、金門島周辺を航行していた中国の漁船が、台湾側の取り締まりを受けた末に転覆し、乗っていた漁師2人が死亡する事故が起きたからだ。
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外信部のデスクが言う。
「中国側は台湾の責任を追及するとともに、〝第2海軍〟といわれる海警局の艦艇が周辺海域でパトロールや演習を行った。船には機関砲が搭載されており、台湾を威嚇するとともに、中国に管轄権があることを主張する狙いもあったのです」
事故が起きた金門島は中国大陸から最短距離でわずか2キロ程度の場所にある離島だが、台湾が実効支配している場所。それだけに、この衝突が戦争に発展する可能性があるのではないかと、国際社会が緊張に包まれているのだ。
「おかげで、5月20日に予定されている台湾の頼清徳次期総統の就任式に向けて、中国側が台湾に何かを仕掛ける可能性があると話題になっている。また、中国が台湾に侵攻した場合、台湾の戦闘機が日本に逃げ込むことも想定し、日本の空港を攻撃する可能性も指摘されているのです」(同)
145万人が住む沖縄本島は避難計画の対象外
そうした経緯もあったからか、日本政府は台湾有事の際の「先島諸島の避難計画」を来年度中にも策定する方針であることを示唆。石垣島や竹富島、与那国島などの住民は福岡空港を経由して九州北部と山口の計5県に、宮古地域の住民は鹿児島空港を経て鹿児島、熊本、宮崎の南九州3県の市町村で受け入れる計画だという。
だが、旅行者などを含めた約12万人をスムーズかつ安全に避難させられるのか、課題は多い。
「飛行機での避難が計画されているが、日本が戦火に巻き込まれた場合、沖縄や九州の空港が無傷であるとは考えにくい。しかも145万人が住む沖縄本島は、この計画の対象外。米軍基地があるため、さすがに中国軍も攻めてこないだろうというのが政府の言い分だが、地元からは不満の声が上がっているのです」(軍事ジャーナリスト)
甚大な被害が出ないことを祈るばかりだ。
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