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「8つの活断層」が日本列島を壊滅に追い込む!危険度MAXの連鎖で「富士山噴火」も

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(画像)10 FACE/Shutterstock

今年1月15日に政府の地震調査委員会は、国内の活断層を震源とする地震の最新発生確率と想定規模を発表した。

それによると、今後30年以内の発生率が最も高い「Sランク」の活断層は全国に31カ所あり、うち8つが最上級の警戒レベルにあるという。

科学雑誌の編集者が解説する。

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「発表されたデータには100を超える活断層が記載され、発生率0.1%未満のものをZ、0.1〜3%未満をA(やや高い)、3%以上をS(高い)とランク分けしているが、この8カ所はいずれもSランク。発生率が最大10%以上で、さしずめ警戒レベル〝SS級〟の活断層と言えるのです」

問題の活断層を列挙する。

(1)「糸魚川―静岡構造線断層帯」の長野県区間(14〜30%、M7.6)

(2)静岡県「富士川河口断層帯」(10〜18%、M8)

(3)熊本県「日奈久断層帯」の一部(0%〜16%、M7.3)

(4)長野県「境峠・神谷断層帯」(0・02〜13%、M7.6)

(5)「中央構造線断層帯」徳島と愛媛県の区間(0〜12%、M7.5)

(6)岐阜県と長野県「阿寺断層帯」(6〜11%、M6.9)

(7)神奈川県「三浦半島断層群」(6〜11%、M6.6)

(8)広島県と山口県「安芸灘断層帯」(0.1〜10%、M7.2)

見ての通り、これらはいずれもM7〜8の地震が危ぶまれているものばかりだが、中でも発生率最大30%と最も危険視されているのが、(1)の「糸魚川―静岡構造線断層帯」だ。

科学ライターが言う。

「同断層は、新潟県糸魚川市から静岡県の安倍川付近に延びている大断層帯。北陸から関東にかけて日本列島を南北に縦断するフォッサマグナ(=日本列島がアジア大陸から離れる際にできた大地の裂け目)の西端に位置しているためか、1200年以上前にも大地震を起こしているのです」

それが762年に信濃、美濃、飛騨地方を襲った巨大地震(M8)だ。

同地震は広い範囲に震度7の揺れをもたらしたと伝えられるが、600〜800年といわれる断層中北部の活動周期をすでに大幅に過ぎていることから、次なる巨大地震の発生が懸念されているのだ。

地震研究家が警告する。

「さらに糸魚川―静岡構造線断層帯の南側には、富士川河口断層帯がある。この発生率も最大18%と高いが、糸魚川―静岡構造線断層帯で発生した直下地震が富士川河口断層帯を震源とするM8クラスの巨大地震を誘発すれば、富士山が噴火。山体が崩壊し、溢れたマグマや火山灰が静岡県御殿場市周辺を覆い尽くすといわれています」

ちなみに、富士川河口断層帯は九州沿岸から駿河湾まで延びる南海トラフと相関関係にあることが分かっており、東海地震発生時に揺れる可能性があることはもちろん、この断層が南海トラフを刺激する可能性も指摘されている。

発生確率が低い場所も要注意

次に警戒されているのが最大16%の地震発生率が発表された(3)熊本県の「日奈久断層帯」だ。

ご存じの通り、ここは2016年に起きた熊本地震(M6.5)の震源となった断層の一つだが、「いまだ危険が潜んでいる」とされる。

「震度7の揺れで死者55人、負傷者1814人、住宅被害16万棟に及んだ熊本地震には、実は八代市西部に割れ残りの断層があるといわれている。同地震以降、活発な地震活動が続いており、以前よりも地震の発生リスクが高くなったともいわれているのです」(前出・地震研究家)

加えて、この日奈久断層帯は西日本を貫いて大分県まで延びる「中央構造線断層帯」と連鎖して動く可能性が指摘されている。

中央構造線断層帯については、(5)の徳島と愛媛区間とも連動する恐れがあり、巨大地震が誘発される確率がさらに高まるという。

もっとも、こうした被害を倍増させそうな不確定要素は、他の〝SS級〟活断層もはらんでいるという。

「例えば、(7)の神奈川県『三浦半島断層群』は発生確率最大11%と評価されているが、1923年に相模トラフを震源として起きた関東大震災(M7.9)と同クラスの地震が発生した場合、連動しかねないといわれている。つまり、海溝型と内陸直下型の巨大地震が続けて起きる可能性も否めないのです。また、(8)の広島県から山口県沖合に伸びる『安芸灘断層帯』も最大発生率10%と高めだが、広島県は比較的地震も少なく、今までに起きたのは1905年の明治芸予地震(M7.2)と2001年の平成芸予地震(M6.7)くらい。それゆえに、逆に危険性が指摘されているのです」(前出・科学ライター)

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「ただ、地震というのはこのようにマークしているところが必ず動くのではなく、誰も気にもしていなかったところが動いたりする。発生確率が高いから危ない、低いから安心なんて思わず、名前の挙がった活断層はでき得る限り注意すべきです」

実際、今年正月に発生した能登半島地震の震源だった断層は、そもそもこのデータにすら入っていない。また、熊本地震を引き起こした日奈久断層帯の一部区間は、以前は0〜0.9%と発生の切迫率も低かったのである。

そのため、危ないと名前が挙がっている活断層以外にも、その周辺の空白域まで含めて警戒することが重要となってくるわけだ。

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