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『仕事の辞め方』著者:鈴木おさむ~話題の1冊☆著者インタビュー

『仕事の辞め方』幻冬舎
『仕事の辞め方』幻冬舎

『仕事の辞め方』幻冬舎/1500円

鈴木おさむ(すずき・おさむ)
放送作家。1972年、千葉県千倉町(現南房総市)生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳でデビュー。バラエティーを中心に数々の人気番組を構成。2002年には、『森三中』の大島美幸さんと結婚。「いい夫婦の日」パートナー・オブ・ザ・イヤー2009受賞。


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――2024年3月末をもって放送作家、脚本家を辞めることを発表しました。なぜ今、だったのでしょうか?

鈴木 48歳のときに「50歳になったら仕事を辞めよう」と思ったのですが、その後コロナ禍になり、そんなことを考える余裕もなくなってしまいました。ですが、23年春になり、人々がマスクを外し始めた頃に、しまっていた気持ちがムクムクと顔を出してきました。そして今、このタイミングだなと。自分の中でこれまでのように120%のワクワク感で仕事がしづらくなってきてしまったので、この気持ちのまま仕事を続けることへの申し訳なさもありました。そして、51歳の今なら、これから新しいことを始めても充分に間に合うと思ったのです。

――本書では「出世」からの解放を訴えていますね。

鈴木 僕はいろいろな会社に出入りする身なので、さまざまな人を見てきました。出世を狙って上を目指していくことは否定しませんが、その中で大切な何かを失っていく人が多い。その人が持っている本来の「良さ」があるのに、どこかで見失ってしまうのです。そんな人を見るたびに切なくなりました。しかもそういう人に限って、部下にもどんどん嫌われていく。上しか見ていないのですから当然です。出世を目指していく人のほとんどが「敗者」になります。偉くなって誇らしい自分になったと思うのかもしれませんが、そのとき初めて周囲に人がいなくなっていることに気付くのです。会社で出世を目指すポジションにいると、それなりの実力や縁、コネもできてくる。だとしたら、その会社で上を目指すのではなく、辞めてその力を使う方がいいんじゃないかと思ったりします。

人生100年時代を生きるための幸せのカタチ

――読者の中にも「仕事を辞めたい」と考えている人は多いと思います。上手な辞め方を教えて下さい。

鈴木 とにかく、近くの人にちょっとずつ〝辞めたい気持ち〟があることを伝えていくことです。いきなり切り出すとハレーションを起こすので、まずは理解者と味方を増やすことが大切です。人に話していくことで、自分の気持ちも固まっていくでしょう。また人に説明することで自分の中で言語化されていない気持ちが具体化され、自分がなぜ辞めたいのかが理解できるようになってきます。「仕事を辞めたい」と思ったら、そのときから周囲にちょっとずつ話してみてください。

――今後どのような活動を予定していますか?

鈴木 これまで自分が培ってきた経験と力で、若者を応援できたらいいなと考えています。
(聞き手/程原ケン)

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