今春のセンバツ高校野球の出場32校が発表され、各校とも3月18日の大会初日に向け、実戦を想定した本格的な練習を始めているが、今回は〝異色の大会〟となりそうだ。
「木製バットのほうが飛ぶんじゃないか?」
複数の出場校から、そんなボヤキが聞かれるが、日本高野連は今大会から金属バットの基準を変えた。理由は強烈な打球で起こる試合中の事故を防止するためだが、従来の金属バットより反発係数が低くなったため、打球が飛ばなくなったのだ。
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その影響だろう。NPBのスカウトが注目する選手も例年とは異なるようだ。
「昨年覇者の山梨学院に面白い選手がいます。それが1番センターの黒沢后琉(2年)です。昨秋の公式戦9試合で12盗塁、単に足が速いだけでなく、走塁全般におけるセンスの高さが感じられます」(在京球団関係者)
昨秋の関東大会ではホームランこそないものの、18打数6安打と活躍。リードオフマンとして、低く、鋭い打球を野手の間に放つことが持ち味だ。
「守備もうまいですよ。派手なプレーはありませんが、堅実で肩も強い。リードオフマンなので、バットの反発力ダウンもそれほど影響はなさそうです」(同)
危険なピッチャーライナー
今大会はバットの基準が様変わりしただけに、一部ではこんな声も上がっている。
「北海高校(北海道)などは、昨秋の明治神宮大会で試験的に新金属バットを使用していましたが、高野連が金属バットの基準を変えた一番の理由は、ピッチャーを守るため。ピッチャーライナーの打球は瞬間球速で170キロ以上ともいわれており、打球が直撃したら大ケガにつながってしまいます。そのため、今回のセンバツは『打つ、走る、捕る』の野球本来のスタイルに戻るのではともみられているのです」(スポーツ紙記者)
もっとも、今回の改正を受け、低反発の新金属バットでスタンドに放り込んでみせると意気込むスラッガーもいる。ファンとしてはその実現を願うばかりだが、新時代の到来で高校野球は今、大きく変わろうとしているのだ。
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