今週は『共同通信杯』を取り上げます。
《馬場傾向》
1回東京開催6日目。春の開催ほどではないが、高速馬場で行われる。
《ペース傾向》
東京芝1800メートルは、2角から3角までの距離が約750メートルあるために、ワンペースでレースが流れやすい。しかし、共同通信杯は前週のきさらぎ賞や前日のクイーン賞と勢力が分散し、少頭数となるためにペースが上がりにくく、過去10年でかなりのスローペースが6回。一度もハイペースになったことがない。
【関連】JRA重賞『きさらぎ賞』(GⅢ)美人競馬研究家・山崎エリカの「負けない馬券」 ほか
《脚質傾向》
「府中千八展開いらず」という名言があるだけのこともあり逃げ、先行、中団、差し、追込、満遍なく活躍。向正面の距離が長くペースも上がらないため、道中のペースが遅い傾向。このため昨年の2着馬タッチウッドのような捲りもしばしば発生している。また強いてポイントを挙げれば、2着、3着馬はそれほどではないが、中団馬が5勝している。
相当な素質を秘めたビザンチンドリーム
★ショーマンフリート
新馬戦ではスタート後に外にヨレたが、すぐに立て直して2列目の外まで挽回。道中は前が飛ばして行ったが、コントロールしながらレースを進めて道中はやや離れた3番手。3~4角で前との差を詰め、4角では馬なりで2列目の外まで上がる。直線序盤でパストラーレに楽に並びかけて先頭列。ラスト1Fでグンと加速し、突き抜けての2馬身半差完勝だった。ラスト2Fは11秒6―10秒9。それなりにペースが流れた上で、最後の加速ぶりは素晴らしかった。前走のシンザン記念は休養明けで馬体重18キロ増と太目。レース後すぐに追い切られているように、順調さを感じる。
★ジャンタルマンタル
前走で朝日杯FSを優勝し3戦3勝。その朝日杯は3番枠からまずまずのスタートを切ったが、外から被されて進路がやや狭くなり、位置が下がって中団付近からの追走。3~4角では最短距離から2列目まで上がって直線へ。序盤で馬場の良い外へ誘導しながら追われると、すっと抜け出し、そのまま1馬身4分の1差で完勝した。このレースは前半が激流で、そこで位置が下がって最短距離を通し切ったことで展開に恵まれた面があった。またここで記録した指数も例年並みで突出した強さを見せていないが、レースセンスが良く自在性がある点は強みだ。
★ミスタージーティー
ホープフルSの5着馬。同レースでは18番枠から出遅れ、後方から追走。道中は中団列で脚を温存し、3~4角で仕掛けを待って4角で中目のスペースを拾って押し上げたが、直線で進路が作れず、2列目の壁に突っ込んで追い出しが遅れる。ラスト1Fで何とか捌いて伸びたが、掲示板までだった。ホープフルSは3~4角で大外をぶん回す馬が多かった中で、中目からロスを小さく上がれており、展開自体はハマっていたが、良い手応えでありながら進路を作れずの敗戦。能力を出し切っていないので、ここでの前進に期待する。
山崎エリカ
新潟県出身。類いまれな勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性競馬研究家。独自に開発した「PP指数」を基にした予想をnetkeiba.comの『ウマい馬券』で掲載。おもな著書に『全106コース対応 山崎エリカの逃げ馬必勝ナビゲーション』(ガイドワークス)。公式X(旧ツイッター)=@_yamazaki_erika.
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