水温の低下とともに魚たちの活性も下がり、陸からの釣りには厳しい真冬。そんな中、変わらずエサを食ってくれるのが根魚です。今回は根魚の中でも割と広範囲で釣れるカサゴを半夜で狙おうと、大阪府大阪市は住之江区にありますシーサイドコスモに行ってみることにしました。
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夕方の大阪メトロ中央線に揺られ、終点のコスモスクエア駅に降り立つ頃には、すでに日没。はやる気持ちを抑えながら、海に面した遊歩道の〝釣り解放区域〟に向かって歩きます。シーサイドコスモの広い遊歩道は全域が釣りOKというわけではなく、東寄りの約120メートルが釣り解放区域。初夏から秋にかけての休日などは、竿を出すスペースがないほどに大混雑となる人気の釣り場ですが、冬の夜とあれば釣り人の姿はチラホラ程度。岸壁の中ほどの広く空いている所に荷物を下ろして準備を進めます。
今回の狙いは根魚ですから、岸壁のヘチ(際)を探る釣り方が一般的。とはいえ、大人気の釣り場ともなれば、毎日のように代わる代わる釣り人が探り倒したヘチで、良型の根魚を釣るのは至難の業です。こんなときは投げ釣りで、あまり攻められていないであろう沖のポイントを探ってみるのが面白く、2本の投げ竿を用意。市販の胴突仕掛けにアオイソメを付け、なるべく遠くに仕掛けを投げ込んだら、竿先に発光体を取り付けてあとはアタリを待つばかりです。
程なくアタリ幸先よくハネ
護岸の段差に腰を下ろし、天保山の大観覧車や海遊館、対岸の舞洲など大阪ベイエリアの美しい夜景をのんびりと眺めていると、1本の竿にクンッククンッ! と小さなアタリが出ました。続いて激しく上下に揺れたところで合わせを入れると針がかり。「カサゴにしてはやけに元気な手応えだなぁ」などと思いながら、上げた仕掛けに掛かっていたのは30センチほどのスズキでした。釣り人的にはスズキというと60センチ以上の呼び方ですから、大きめのセイゴ、あるいは小振りなハネ、といったところでしょうか。本命の根魚ではありませんが、「これはこれで旨い肴が釣れたわい」と血抜きを施しバケツにイン。エサを付け替え再び仕掛けを投げ入れます。
割と早い段階でハネが釣れたものの、その後はアタリもなく、ボーッと待つのも暇なので、試しにヘチも探ってみることにしましょう。安物のコンパクト竿で護岸の際を探り歩くと、飽きない程度にアタリがあってカサゴが釣れます。とはいっても型は15センチにも満たないリリースサイズばかりで、やはり場荒れの傾向がうかがえます。
ひと通り探り終え、釣り座に戻ると1本の竿が倒れております。竿を拾い上げ巻き上げてみると、先ほどと同じく小振りのハネが掛かっております。こんなことなら浮気をせずにアタリを見ておけばよかったと、ちょっと後悔。ここからはブッ込み1本で再びアタリ待ちの時間となりました。
最後に本命リリースも納得
さて、ハネは釣れたものの、やはり本命の良型カサゴの顔も見たいもの。そこでいったん仕掛けを回収し、エサのアオイソメをたっぷりと房掛けにして投入。投入後はゆっくりと仕掛けをサビいて底を探ります。と、なだらかな砂泥のカケ上がりの中にゴツッと感触あり。ここに仕掛けを置きます。そしてもう1本の竿も同様に…。この釣り場の沖は広い砂泥の所々に障害物が沈んでおり、このような箇所は根掛かりのリスクがある半面、良型のカサゴが付いていることも多かったりします。
5分ほど待ったでしょうか、いきなりギュギュンッ! と竿先が絞り込まれました。根に潜られないよう、すぐに竿を手に取り巻き上げるとあまり抵抗のない重量感です。おそらく本命でしょう。激しいアタリからの激しくない引きと、程よい重量感。これがブッ込みカサゴの醍醐味でもあり、釣れたのはやはりカサゴ。場荒れの激しいポイントにしては、まあまあのサイズです。が季節柄、産卵期とあって腹がやや膨れております。カサゴなどの根魚は成長の遅い魚でもあり、今回はハネのおかずもあることからリリース。この1尾で納得となり、竿を畳むことにしました。
大阪港の環境も近年ではだいぶよくなり、まして冬の港内は比較的、透明度も高いことから、持ち帰ったハネは刺身にして晩酌です。ほとんど臭みのない淡白な白身は、程よい旨味も感じられて美味。美しい夜景を楽しみつつ、旨い肴のお土産も確保できた上に最後にはカサゴの顔も拝めた今回。安近短の楽しい半夜釣行となりました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子どもの頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。
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