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【2023芸能総決算】ジャニーズ崩壊・セクハラ・パワハラ・お騒がせ女優,etc.〜現場取材記者匿名座談会

Mix and Match Studio
(画像)Mix and Match Studio / shutterstock

2023年も芸能界ではいろいろ起きた。とりわけ、ジャニーズ帝国が崩壊したのは、近年まれに見る大事件だった。宝塚や歌舞伎界隈にも不祥事が発覚。いずれも、キーワードはセクハラ・パワハラだった。現場の最前線で取材する記者らが舞台裏をバラす!

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A(フリー芸能記者):今年の芸能界は何といってもジャニーズスキャンダルに尽きるだろう。創業者のジャニー喜多川氏は2019年に死去しているけど、生前およそ50年間にわたって未成年ジュニアに性加害を加えていたという鬼畜の所業が発覚した。新社長の東山紀之が会見で口にした「人類史上、最も愚かな事件」が、これでもかというほど明らかになったね。

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B(スポーツ紙芸能記者):大きなきっかけになったのが3月に放送された英公共放送『BBC』のドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』。ここに以前から問題を追及していた文春砲が参入して徐々に火が付いていった。

C(週刊誌デスク):決定打になったのが翌4月に元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が日本外国特派員協会で行った記者会見だね。カウアン氏が被害を受けたと証言した期間は2012〜16年で、ジャニー氏が晩年まで〝現役〟だったおぞましい状況が暴露されている。

D(ワイドショー関係者):それでもこの時点のジャニーズは何とか逃げ切れると思っていたんだろうね。5月に入って藤島ジュリー景子社長が公式ホームページでわずか1分程度の謝罪動画を公開したけど、「性加害の事実は知らなかった」の一点張りでまるで他人事。社内にコンプライアンス委員会を設置しただけでお茶を濁そうとしていた。

A:確かに、今までだったら事務所の威光にモノを言わせてウヤムヤになっていただろう。でも、今回はネット社会がそれを許さず、炎上を受けて設置された『外部の専門家による再発防止のための特別チーム』の事実認定も大きかった。ジャニーズからの圧力はあっただろうけど、いい仕事をしたよ。

C:そこからはもうグダグダだ。最初の会見でようやく性加害を認めて東山社長の新体制を発表したけど、すべての闇を知る白波瀬傑前副社長は退任で逃げてしまい、事実関係の検証はウヤムヤのまま。しかも、ジュリー氏が株を持ったまま取締役に留任したため、さらなる批判を浴びることになってしまった。

B:最終的に旧ジャニーズ事務所は『SMILE-UP.』(スマイルアップ)に社名を変更し、被害者の補償業務に専念した後は廃業することを決定。ジャニタレたちは新しく設立した『STARTO ENTERTAINMENT』(スタートエンターテインメント)と任意でエージェント契約などを結び直している。新会社の社長・福田淳氏は外部から招いた人物で、旧ジャニーズの関係者はCOOに就任した井ノ原快彦だけ。旧ジャニーズに取り残された東山は完全に貧乏くじを引いてしまったね。

D:これで芸能界からジャニーズの名前が完全に消滅したわけだが、すべてが終わったわけじゃない。ポイントは性加害問題の実態解明と被害者への補償で、11月20日時点で窓口に被害を訴えている元ジャニーズの総数は834人。現役タレントも含めて申告していない人もいるだろうし、実際の被害者は優に1000人を超えているはず。このうち救済委員会が事実確認を終えた35人に補償内容が提示されたけど補償はまだ始まったばかりだ。10月以降、一度も会見が開かれていないのも気になるね。

変わらないジャニーズ頼み

A:もう一つ、ジャニーズ問題を通じて浮き彫りになったのがメディアの沈黙だ。特に〝辞めジャニ〟が次々と被害を告白したことで、リハーサル室や局内施設での〝行為〟まで暴露されたテレビ局はパニックになっていたね。

C:自省も込めて言えば、そもそも性加害問題は過去に何度も暴露されていたのに、そのたびに忖度したメディアが黙殺してきた。まさに共犯者だ。特に最高裁で性加害の事実認定がされた週刊文春との裁判を一切報じなかった事実は重いよ。

D:今回もBBCの番組やカウアン氏の会見をスルーするなど初動も遅く、特別チームの事実認定が出てからようやく報じ始めている。後になってNHKや民放各局が独自の検証番組を放送したけど、ほとんどアリバイ作りの域を出なかった。TBSはまだマシな方で、『ミュージックステーション』などでズブズブだったテレビ朝日やジャニーズ頼りで視聴率を取ってきた日本テレビ、フジテレビの検証番組は酷いものだった。

C:ただ、NHKの報道なんかはかなり早い段階からやる気になっていたよ。検証番組はどこよりも早かったし、2回目の記者会見で発覚した「NGリスト問題」もNHKのスクープ。紅白歌合戦からジャニタレを排除したのも英断だった。

B:フジテレビはジャニーズの圧力がなくなった途端、辞めジャニの赤西仁を出演させたけど、かえってこれまでの忖度ぶりが浮き彫りになったね。

A:利権のおこぼれにあずかってきた御用メディアが手のひら返しで右往左往する中、気を吐いていたのは以前からジャニーズ批判を掲載していた一部のメディア。週刊文春はもちろん、目立ったのは日刊ゲンダイかな。作曲家・服部良一の次男が実名で被害を告発した記事はジャニーズにトドメを刺すスクープだった。

C:一方、スポーツ紙はこの期に及んでも、まだジャニーズへの忖度が垣間見えていた。癒着してきた共犯者の自覚があったんだろうね。ジャニーズに関わったことのない若手記者が多いウェブ記事は辛うじて頑張ってたようだけど。

D:とはいえ、ジャニーズを追い詰めたのがネットメディアの力だったことは否めない。旧メディアがネットに唯一、勝っていた信頼性すら失いかけている状況は、もうどうしようもないんだろうね。

C:実際、検証番組で禊ぎを済ませたつもりのテレビはなし崩し的に旧ジャニーズタレントを起用し続けているし、NHK紅白も『男闘呼組』メンバーを中心に結成された『RSC』の出演を追加で決定した。活字メディアでもカレンダー利権の再分配が行われたようだし、今後も旧ジャニーズ頼りの体質は続きそうだ。

遺族を威圧した宝塚サイド

A:ジャニーズの話題ですっかり霞んでしまったけど、他にも注目すべき事件が起きていたね。特に歌舞伎界のプリンス・市川猿之助の一家心中事件は衝撃的だった。本人は一命を取り留めたけど、睡眠剤で一緒に死のうとした両親は死亡。猿之助には自殺ほう助の罪で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が下っている。

D:東京地裁の判決では「週刊誌に掲載予定の記事を読んだことをきっかけに、積年の思いもあって自殺を考えるに至った」とあったように、引き金となったのは女性セブンの「歌舞伎激震の性被害!市川猿之助濃厚セクハラ」という記事。猿之助が共演者やスタッフに対して〝過剰な性的スキンシップ〟を含むセクハラ・パワハラを日常的に行っており「拒否した途端に仕事を外された」といった内容で、閉鎖的な歌舞伎界の悪しき伝統を告発するものだった。

B:猿之助はこの取材を受けて犯行に及んだわけだが、タイミングも悪かった。ちょうどジャニー喜多川氏の性加害問題が世間で騒がれていた時期で、関連付けて叩かれることは目に見えていたからね。両親まで巻き込んで命を絶つことはなかったと思うけど、世界的に「MeToo運動」が続いている中で感覚をアップデートできなかったのは自業自得。伝統に守られた歌舞伎界にいた弊害だろう。

C:猿之助が立ち上げた新作舞台『鬼滅の刃』も中止になったままで歌舞伎界も頭を抱えている。スーパー歌舞伎はドル箱だっただけに〝歓進元〟の松竹も何とか猿之助抜きでの公演を模索しているね。ただ、厳しいことを言うようだけど、そもそものきっかけになった猿之助のセクハラ・パワハラ疑惑をウヤムヤにしたままでは、また同じ問題が出てくるよ。

D:歌舞伎界では尾上菊之助の「〝19歳下〟波瑠似美女と〝高級ホテル不倫〟泊」なんてスキャンダルもあったけど、猿之助の事件に比べれば可愛いものだね。

A:パワハラ絡みでは日本芸能の老舗・宝塚歌劇団でも、元演出家による歌劇団の演出助手への性加害や団員へのパワハラ、さらに劇団内でのイジメ疑惑というスキャンダルがあった。これも週刊文春が昨年から追及キャンペーンを続けていたけど、他メディアは動かないというジャニーズと同じ構図があったね。

B:9月になって宝塚の女優がマンションから転落死する事件が起きて事態が急転した。文春は上級生からのパワハラが原因だったと報じていたけど、宝塚を傘下に持つ阪急阪神ホールディングスは聞き取り調査の結果、疑惑を完全否定。それどころか反論した遺族側に対して、「証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」と威圧感たっぷりの発言をしたことで批判が殺到した。

D:こうして見ると今年はジャニーズ、歌舞伎、宝塚と古い体質の弊害が一気に噴出した年だったのかもしれないね。

今年多かったお騒がせ離婚

A:シリアスな事件が続いたから、最後は色っぽい話題にも触れておこうよ。今年は熟年美人女優のスキャンダルも多かったし。

D:まずは有名シェフとのダブル不倫が発覚した広末涼子から行こうか。広末は一旦、不倫を認めて謝罪したけど、すぐ2人の間で交わされた「ラブレター交換日記」が流出したことで実は関係は終わっていなかったことが発覚。「入ってくれて、きもちくしてくれてありがとう」という熱烈な恋文は、いかにも広末らしいエロさが漂っていたね。

C:その後の経緯もカオスだった。夫のキャンドル・ジュン氏が単断で会見を開き、涙ながらに広末や子供をかばったことで「男を上げた」と称賛されたんだが、直後に週刊女性PRIMEが、今度はジュン氏の「元スタッフへの暴力と不倫疑惑」を報じたことで事態がややこしくなった。

A:最終的に離婚したわけだけど、広末の恋愛体質は変わらないだろうし、この先もまだまだ話題を提供してくれそうだね。

B:もう1人、斉藤由貴も忘れちゃいけない。6年前に開業医とのダブル不倫が発覚して、医師が斉藤のパンティー? を頭に被った姿やキス写真が流出したことがあったけど、今年はその医師のクリニックの前で「入れて! 閉めないで!」とこちらもエッチな言葉を発し、深夜に大騒ぎして警察沙汰になっていた。これも文春のスクープで、狂乱状態で泣き叫ぶ斉藤の姿はなかなか衝撃的だった。

C:まあ恋愛は自由だし、広末も斉藤も若い頃から奔放で有名だった。三つ子の魂百まで。根は変わらなかったってことだろう。

D:他にも「深田恭子と実業家が破局」「MEGUMIと降谷建志離婚騒動」「南野陽子夫の不祥事発覚で離婚」「熊田曜子離婚成立」「羽生結弦105日離婚」なんてニュースもあったけど、やっぱりジャニーズ問題の影響もあって芸能界全体が重苦しい雰囲気だった。来年はもう少し明るい話題で盛り上がれるといいね。

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