大谷翔平の入団が決まったドジャースに、身売り情報が浮上した。10年総額約1015億円の97%に当たる約986億円を10年後からの分割払い。しかも無利息。この驚愕内容に日本のソフトバンクの関連会社など投資筋が注目。オーナー陣に高値売り抜けの動きが――。
「給与をすべて繰り延べれば、チームの補強に回せる」と申し出て、向こう10年の年俸を年200万ドル(約2億9000万円)で契約した大谷。この善意が、逆に大きな波紋を広げている。
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「経営陣に球団株売却の動きがあるのです。球団の資産価値がヤンキースを上回った今が好機だと。狙いは高値売り抜けでしょう」と眉をひそめるのは、ロサンゼルスの地元紙記者。
米経済誌フォーブスが今年3月に発表した2023年の「MLB球団別資産価値」によると、トップはヤンキースの71億ドル(約9300億円)。ドジャースは2位で48億ドル(約6300億円)だったが、大谷を獲得し、MVP経験者のベッツ、大谷、フリーマンの1〜3番が誕生することで、人気も戦力も格段に増した。
「しかも大谷の契約は大リーグ最高契約だったトラウト(エンゼルス、12年約616億円)を更新。NFLのマホームズ(チーフス、10年約729億円)、サッカーのメッシ(バルセロナ時代、4年約860億円)をも抜き去ってスポーツ界の頂点に。それも破格条件で獲得したことで、球団買収の動きが活発化した」(同)
資産価値をざっくり言えば、球団株式の総額だ。ドジャースは元々、オマリー家が所有していたが、経営悪化で11年に当時のコミッショナーだったバド・セリグ氏が介入。MLB機構の監視下に置き、翌年に元NBA選手マジック・ジョンソン氏らの投資家グループが20億ドル(当時1660億円)で買い取った。
ネズ・バレロ氏の行動に疑問視
現在のオーナー会社は『グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント』。マーク・ウォルター会長兼CEOが筆頭オーナーを務め、主要株主にジョンソン氏や元女子テニスのキング女史、映画プロデューサー、実業家などが名を連ねる。
「株主のほとんどが投資目的。上場会社ではないため個人的な株式売買となるが、売りの情報が流れ投機筋が飛びついている。地元のロサンゼルス・タイムズなどとともにトヨタやソフトバンクの名もささやかれている」(前出・地元紙記者)
大谷の契約は世界の金融センター、ウォール街(ニューヨーク)でも話題だという。実質的なサブプライムローンだというのだ。
住宅ローンに例えれば、最初の10年間の返済額を総額の3%に抑え、10年後から残りを10年かけて支払う。それも無利息。店子の大谷は10年間よそへ移らない。
このすべてが破格の条件だ。
「この間のインフレ、1000億円の資金運用を考えれば、大谷への支払い額は実質850億円程度に目減りする。さらにMLBに課される〝ぜいたく税〟が年35億円、10年だと350億円程度節税できる。何もかもメリットばかりだ」(米国の金融アナリスト)
解せないのは、すご腕とされる代理人のネズ・バレロ氏だ。代理人の手数料は5%。最終的には約50億円入るとはいえ、当面の10年間は年1450万円だけ。大谷の契約交渉に数千万円かかるプライベートジェットを使っていたが、これでは〝そろばん〟が合わない。
「そこで球団売却に一丁噛みしているのでは、と勘ぐる声が出ているのです。球団の売買ならバレロ氏の仲介手数料は20%程度が予想され、桁違いの商いとなる」(前出・地元記者)
今回の契約では、ウォルターオーナーかフリードマン編成本部長がチームを離れた場合、大谷は契約を破棄できる条項を設けているが、他のオーナー陣の株式売買は可能。両氏が残れば、オーナー会社が変わる可能性はある。
“ソフトバンク”の別動隊が動く!?
そんな中でドジャースへの経営参加がウワサされる日本企業がある。12月15日に大谷とのブランドアンバサダー契約を発表したディップ株式会社(本社・東京都港区)だ。同社は求人情報サイト『バイトル』の運営会社。大谷のドジャース入団会見があった当日に、大谷と冨田英揮社長の対談がテレビのニュースでも紹介され、話題となった。
そのディップ社は、ソフトバンクの孫正義氏らが若い起業家支援に設立した『ジャパン・インキュベーション・キャピタル』に応募して起業。Yahoo!求人情報で業績を伸ばし、04年に東証マザーズに上場した。孫正義ソフトバンクの別動隊だ。
大谷がエンゼルスに移籍し、アナハイムスタジアムの看板に日本企業が殺到。CMやユニホームの販売、観客動員など年間に2500万ドル(約36億円)の富をもたらした。ドジャースではその倍は固い。それでいて給与は2億9000万円。ディップ社がブランドアンバサダー契約を結んだ狙いが、そこに透けて見える。
ソフトバンクグループはこれまで世界各国のスタートアップ企業を支援し、1400億ドル(約20兆円)以上を注ぎ込んでいる。これに反発したのが米国サンフランシスコ・ベイエリアのシリコンバレーの投資家たち。この構図は、大谷獲得を最後まで争ったロサンゼルス・ドジャースとサンフランシスコ・ジャイアンツと同じだ。
「ソフトバンクグループは出資した米シェアオフィス大手『ウィーワーク』が経営破綻し、今年4月からの半年で2343億円の損失を出している。そこでドジャースの経営参加で巻き返しを狙っている。その先兵が冨田氏。孫正義氏がバックボーンなら大谷がオプトアウト(契約破棄)を行使することはない」(大手広告代理店)
大谷の給料後払い効果で山本由伸(オリックス)、今永昇太(DeNA)のドジャースへのポスティング移籍の可能性も上昇、日本の投資家から目が離せない。
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