今週は『朝日杯FS』を取り上げます。
《馬場傾向》
秋の阪神開催が3連続で行われた一昨年こそ外差し有利だったが、基本的に内からでも粘れている。また過去3年は変則開催で、やや時計も掛かっていたが、5回京都→5回阪神に変わる開催は高速馬場である。
《ペース傾向》
阪神に移行後の過去9年は、過去4年がハイペース傾向。特に19年、20年、22年が前半4F45秒台前半の極端なペースとなっている。このレースが行われる阪神芝1600メートルは最初のコーナーまでの距離も最後の直線も長く、コーナーも大回り。癖のないコースだけに展開の振れ幅が広い。
【関連】JRA重賞『阪神ジュベナイルフィリーズ』(GⅠ)美人競馬研究家・山崎エリカの「負けない馬券」 ほか
《脚質傾向》
過去9年で先行馬が5勝、差し・追込馬が4勝と偏りがない。2着、3着も逃げ・先行と差し・追込馬の活躍がイーブンに近いので、脚質を気にする必要がない。
“紅一点”の素質馬タガノエルピーダに期待!
★タガノエルピーダ
新馬戦では2列目の最内を追走。最後の直線では逃げたクランフォードと後続を引き離しての追い比べ。これを3/4差で制した。この新馬戦は同日同距離の2歳未勝利戦と比べてもかなりペースが遅かったが、ラスト2Fは11秒0-11秒0と驚きの数字。京都芝は東京芝よりも時計が掛かっており、その価値は高い。走破時計は1分34秒3で、同日同距離の2歳未勝利戦と比べて0.2秒差と遅かったが、だからこそ今回で疲れを残さず、上昇する可能性が高い。実際にクランフォードは次走の未勝利戦を好指数で完勝している。キャリアが浅い馬は不利だが、素質の高さで突破に期待。
★ミルテンベルク
阪神芝1200メートルの新馬戦では、2着に3馬身差で好指数勝ちした馬。続く小倉2歳ステークスでは、かなりのハイペースを中団から3角、4角でかなり外を回って位置を押し上げる競馬。アスクワンタイムとの叩き合いでアタマ差敗れたが、レース当日の外差し有利の馬場を考慮しても、5頭分外を回るロスはさすがに大きく、負けて強しだった。前走の京王杯2歳Sは距離延長を意識し、中団外で脚をタメる競馬を選択。控えたことで道中では首を上げる場面もあり、明確にコントロールに苦労していた。また本馬の適性を考えると、位置取りが後ろすぎた。今回はさらに距離が長くなる不安はあるが、上手くレースの流れに乗れれば一発ある。
★ジャンタルマンタル
新馬戦、デイリー杯2歳ステークスを連勝。前記の2戦とも内枠から好発を切って好位の最内を立ち回り、早めに抜け出して完勝と優等生の競馬。新馬戦の指数はなかなか優秀。デイリー杯2歳ステークスも重賞としてはそこまで指数は高くないが、外差し有利の状況下を、最短距離を立ち回って優勝したことは褒められる。レース内容に特筆すべき点はあまりないが、弱点もあまりない。強いて挙げるなら行きたがる気性面から、外枠を引いて前に壁が作れずに行き切った場合だが、鞍上が川田騎手なら、その弱点も補える。大崩れする要素が低い。
山崎エリカ
新潟県出身。類いまれな勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性競馬研究家。独自に開発した「PP指数」を基にした予想をnetkeiba.comの『ウマい馬券』で掲載。おもな著書に『全106コース対応 山崎エリカの逃げ馬必勝ナビゲーション』(ガイドワークス)。公式ツイッター=@_yamazaki_erika.
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