今年の締めの九州場所(福岡国際センター)は11月26日、大関霧島(27)の4場所ぶり2回目の優勝で幕を閉じた。合わせて『年間最多勝』も獲得した霧島は、
「霧島という四股名をもらって初めての優勝ですから、うれしい」
と満開の笑顔。来場所の綱取りに向けて気合も十分だが、この一人横綱の照ノ富士が休場した九州場所を盛り上げたもう1人の立役者が、幕内最年少の熱海富士(21)だった。残念ながらまたも先場所に続き終盤、息切れしてしまい、史上最速の優勝はお預け。千秋楽の支度部屋で、
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「またダメだった。自分は弱い」
とうなだれていたが、12日目に大関の豊昇龍を倒すなど、先場所に続き最後まで優勝争いを繰り広げる活躍ぶりで、2場所連続の敢闘賞受賞も当然の成り行き。「もはやあの実力は本物」と親方たちも太鼓判を押していた。
ただ一方では、まだ幕内にカムバックして日の浅い若造に、2場所連続で優勝争いさせるとは先輩力士たちがだらしなさ過ぎる、との嘆きの声も上がっている。
大部屋ならではの…
「これまでの大横綱、たとえば千代の富士も、白鵬も、これはという力士が出てくると、巡業や場所前の稽古などで引っ張り出して徹底的にやっつけた。そうやって怖さを植え付けることによって、本番で対戦したときに、ああ、この人にはどこからいっても勝てない、と歯向かう意欲を削いだんだ。ところが、この場所前の稽古を見ても、熱海富士にちょっかいを出す力士は誰もいない。これじゃ、熱海富士はノビノビ育ち、勢いに乗ってドンドン活躍する」(協会関係者)
もっとも、その裏には角界ならではの〝裏事情〟も横たわっているという。
「熱海富士のいる伊勢ケ浜部屋は、横綱照ノ富士をはじめ、5人もの幕内力士を抱える大相撲界切っての大部屋。うっかり手を出せば大変なことになるため、誰も熱海富士に手を出せないんです」(一門関係者)
今年も12月3日の熊本県八代市を皮切りに冬巡業がスタートする。果たして、熱海富士に手を出す勇気ある力士が現れるかが見ものだ。
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