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横浜DeNAが原辰徳氏を獲得へ!? 初V目指し古田敦也氏と画策…

横浜スタジアム
横浜スタジアム (C)週刊実話Web 

球史最大の衝撃となった1980年の長嶋茂雄巨人監督「解任劇」。その際は大洋ホエールズが監督招聘に動き、あわや実現しかけた。あれから43年、今度は横浜DeNAが10月に巨人監督を退任した原辰徳氏の獲得に乗り出し、プロ野球界に波紋を広げている。

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今年1月に野球殿堂入りしたアレックス・ラミレス氏の「野球殿堂入りを祝う会」が11月7日、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで開かれた。発起人はDeNAの南場智子オーナー(61)。ヤクルト時代に同僚だった古田敦也氏(58)が乾杯の音頭をとり、DeNA初代監督の中畑清氏、巨人前監督の原辰徳氏(65)など約300人が駆け付けた。

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会場で際立ったのが、南場オーナーと古田氏、原氏の絶妙の距離感。そして「再び横浜が、巨人監督の招請に動いている。ミスター解任の際は長嶋巨人で初代ヘッドコーチを務めた関根潤三氏が仲介したが、今回の橋渡し役は古田氏」という情報も流れてきた。

想定が1年早まったが、DeNAは水面下で原氏が巨人監督勇退後にベイスターズで指揮が執れるように画策していた。これまではいい感触を得られなかったというが、ここにきて大きな変化が…。

「ベイスターズが2019年から戦略的パートナーシップを結ぶ米大リーグ、ダイヤモンドバックスが今季、22年ぶりにリーグ優勝(ナ・リーグ)したことで、DeNAで四度目の監督を考えたのではないか。1年でコーチ辞任を余儀なくされた大久保博元氏、阿波野秀幸氏に報いる狙いもある」(巨人OB)

来季のコーチ編成に影響が…

Dバックス優勝の原動力となったのが「セイバーメトリクス戦術」だ。ざっくり言えば、野球と統計学を組み合わせて数値化し「いかにアウトにならないか」を弾き出す〝逆転の発想〟の戦術だ。

「従来のデータ野球は、投手攻略や出塁率、守備シフトに重きを置いたが、こちらは常識にとらわれない用兵が特徴。スタメンを固定して戦う阪神・岡田彰布監督とは違い、臨機応変に選手を起用する原監督に合った戦術ですよ」(MLBアナリスト)

Dバックスのトーリ・ロブロ監督は、かつてヤクルトに在籍した古田氏の同僚。その縁もあり、古田氏は今春のDバックスのキャンプで臨時コーチを務めた。

レンジャーズとのワールドシリーズでも本拠地アリゾナ・チェイスフィールドに出向いて視察。セイバーメトリクス戦術を吸収してDeNAにフィードバック。それは来季のコーチ編成にも反映されている。

三浦大輔監督(49)は、チーム生え抜きでコーチ実績の高い石井琢朗氏(チーフ打撃)、鈴木尚典氏(打撃)、斎藤隆氏(チーフ投手)を重用してきた。しかし、DeNA本社は「このままの延長線上に優勝はない」と判断。作戦立案の体制を一新した。

「オフェンスコーチ」にAI(人工知能)にも詳しくゲームアナリストだった靍岡賢二郎氏を抜擢。チーフ投手コーチには、ブルペン担当だった大原慎司氏。共にデータ分析の「別班」からの登用となる。

靍岡氏は独立リーグ・愛媛マンダリンパイレーツの出身。ベイスターズにはドラフト8位指名で入団し、一軍の実績はほとんどない。

英断を下したのは、今季から球団の統括本部長に就き、スタッフ全体を統括する萩原龍大氏だ。46歳の同氏は、慶大理工学部を経てDeNA本社に入社した一般人。14年から球団の統括本部に異動し、IT環境を整備。一般公募で統計専門家などを登用し、データを活用して戦術を練る「別班」を構築。ほとんどが野球未経験者だ。

「大本営の作戦担当がベンチの参謀を凌駕したわけで、容認した三浦監督に対するコーチ陣の反発は強い。早くも石井コーチの他球団移籍がウワサされるなど、キナ臭さが漂っている。来季は優勝しても逃してもコーチ陣の総退陣は必至でしょう」(地元メディア)

前例があるからこそ仲人役に

DeNAは95億円を投じて11年11月にTBSからベイスターズを買収し、横浜スタジアムの運営会社も16年に約74億円で買い取った。しかし、優勝は一度もない。前身を含めても最後の優勝は98年。12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっている。

「同じIT企業のソフトバンク、楽天は日本一を達成しており、株主から責任を問う声が出ている。そこで神奈川県出身で横浜スタジアムとゆかりの深い原氏を監督に迎え、女性オーナー初の胴上げという構想が浮上した。今回のコーチ体制一新は、そこへ向けた第1弾です」(DeNA関係者)

ところでこの計画に古田氏が一丁噛みするのは、長嶋解任劇の前例があるからだ。大洋が獲得に乗り出した際、「ミスター政権への繋ぎ」として仲介役の関根氏が監督に就任。今回もまた仲介役・古田氏の「原政権への繋ぎ監督」が透ける。

「横浜に地縁がなくOBでもない古田氏が〝番長〟を追い出す形で監督に就けば、反発は避けられない。しかし、原監督を推奨し、実現までの繋ぎ役ならベイスターズファンも容認する」(DeNA関係者)

南場オーナーにしても、いきなり原監督なら申し分ないが、野村ID野球の申し子・古田氏の繋ぎ監督も歓迎。DeNAが目指すAIやハイテク統計戦術を進めるのに最適任者の1人だからだ。大洋でも活躍した解説者が、こう締めくくる。

「古田の本音は、原監督招聘の論功行賞。原の次の監督狙いでしょう。順序はどうあれ、ミスターが財界首脳の反対で断念した横浜監督を愛弟子の原に果たしてほしい。横浜のオールドファンは、それを心待ちにしている」

過去には三原脩氏が、巨人監督退任後に大洋球団監督になり日本一(60年)の例があるが、V9ジャイアンツ以降はいない。原氏はどのような決断を下すのか。

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