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『バイ』千葉県南房総市/千倉港産~日本全国☆釣り行脚

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

夏から秋にかけては堤防でのサビキ釣りが面白い季節。とはいえ、今年の夏の暑さは異常なものがあり、とても日中に灼熱の堤防で、慌ただしくサビキ釣りをやろうなどという気にはなりませんでした。まして、対象魚となるイワシやらサバなどは足の早い(鮮度の劣化が早い)魚ですから、真夏の堤防上で大量の氷を用意して、鮮度保持に努めるというのも面倒なものがあり、もっと涼しくなったらと思っていました。

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日本全国釣り行脚(C)週刊実話

さて、最近では秋を通り越して薄ら寒い日もあったりで、夏が終わったらいきなり肌寒くなったように感じます。これはぼちぼちサビキ釣りの好機なのでは、ということで向かった先は千葉県南房総市の千倉港。南房総の中では大型港で、秋のこの時期は港内に高確率でアジが回遊することでも知られる漁港です。普段、イワシや小サバでも満足してしまうワタクシとしては、手軽なサビキ釣りで旨いアジが釣れれば、こんな嬉しいことはありません。

ローカルムード漂う内房線にのんびりと揺られ、昼過ぎの千倉駅に下車。駅前からバスに乗り込み、千倉港に到着すると、休日とあって岸壁は釣り人で賑わっております。しめしめ、賑わっているということは最近釣れているのだろうと、空いている岸壁付け根寄りに荷物を下ろして準備に取りかかります。

日本全国釣り行脚
日本全国釣り行脚(C)週刊実話

安物の磯竿にサビキ仕掛けをセット。足下にパラリと寄せエサを撒いて仕掛けを沈めます。当然、まだ魚が寄っているわけではないのでアタリもありません。「まあ、そのうち魚も寄って来るべさ…」と、寄せエサを切らさずに撒くうちに竿先が上下に揺れました。

時合い待ちにバイ狙い!

アイゴ 日本全国釣り行脚
アイゴ 日本全国釣り行脚(C)週刊実話

「おぉっ、早くも」とリールを巻くと釣れたのは小さなアイゴです。この大きさのアイゴを〝バリコ〟と呼ぶ紀州では干物で喜ばれますが、今日のアタクシはアジなど青魚の気分。ヒレのトゲに気をつけてリリースします。さて、どうするか。このまま寄せエサを撒いていては、アイゴばかりを寄せてしまう可能性もあります。今日は満潮が日没前後。ということは、サビキ釣りの好時合いはおそらく夕方でしょうから、それまでは一旦お休みすることにして、チョイ投げで時間潰しをすることにします。

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日本全国釣り行脚(C)週刊実話

千倉港は、港内へのチョイ投げでシロギスやヘダイなども狙えることから、安物のコンパクト竿に市販のキス仕掛けをセット。こんなこともあろうかと、持参したアオイソメをエサに、適当に仕掛けを投げ入れます。しばらく竿先を眺めますがアタリはなく、エサの点検のために竿を手にすると、ん? 何やら重いような…。巻き上げた仕掛けに付いていたのはバイです。そういえば、千倉港はコレも濃い釣り場でしたな。ある程度、数が釣れればよい肴になりますし、サビキ釣りの時合い待ちには丁度よい相手です。

ということで竿数を2本に増やし、バイ狙いでチョイ投げです。ハリにエサを付けて再び適当に投入。投入後は仕掛けを動かさず、10分ほど待ってから巻き上げると、狙い通り適度な重たさを感じバイを確保。これは極めてイージーなので初心者にもオススメな釣りかもしれません。

キモい獲物も市場では流通

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日本全国釣り行脚(C)週刊実話

時には一荷(2本バリに2個)もあり順調にバイを確保。思った以上にバイの魚影(貝影)は濃いようで、バケツには着実にバイが増えていきます。貧乏性のワタクシにとって、こういう地味ながら着実に釣れる釣りというのは性に合っているようで、ハリから外したバイをバケツにポチャンと入れる際には、なんとも言えぬ心地よさがあります。

ひとしきり夢中でバイ釣りを楽しむうちに日も傾き、夕方の気配が濃くなってまいりました。気がつけば、だいぶ潮位も上がり、改めて水面を眺めると、所々に波紋が出ています。あら…これはサビキ釣りの時合い到来かしら? ということで、チョイ投げ竿を畳み、当初の目的であったサビキ釣りをやってみることにします。この模様はまた次回ということで。

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バイの醤油煮 日本全国釣り行脚(C)週刊実話

さて、釣りにおいては〝よく分からない気持ち悪い巻貝〟として扱われることの多いバイ。ですが、市場では黒バイとして流通しており、ちょっと気の利いた小料理店などでは、お通しで利用されることも多い貝です。コレを醤油煮にして一杯やります。

ほんのりした甘みに、歯ごたえのある食感は優秀な肴と言え、夢中になってほじくってはつまみ、程なく完食。釣り場では「これくらいあれば…」などと思っていましたが、もっと数を釣っておくのだったと少し後悔したのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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