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蝶野正洋『黒の履歴書』〜踏み出す決意を固めた還暦パーティー

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web 

先日、俺の還暦を祝うパーティーを開催して、仕事関連の関係者を中心に220人もの方々に出席していただいた。

最初は本当に身内だけのプライベートな集まりということで企画してもらったんだけど、内容をいろいろ工夫していくなかで、規模が大きくなってね。藤波さん、長州さん、武藤さんと俺でトークショーをやったり、作曲家の鈴木修さんがサプライズで登場して、俺の入場曲『FANTASTIC CITY』の生演奏を披露してくれたりと、予想以上に盛大なものになった。

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問題はトークショーだよ。もともと短い時間では収まらないような人たちばかりだから、まとめるのが大変だったね(笑)。

改めて思ったけど、長州さんと武藤さんは、似た者同士。好きなことを、好きに喋る。俺と藤波さんはわりと抑えるほうで、意外と同じタイプかもしれない。

長州さんのトークは、まずキーワードをボンって出すから、これはどういう意味なのかなと考えてしまうんだよ。このときも、まず藤波さんが、猪木さんの想い出を語っていた。その流れで長州さんに話を振ったら、「俺、猪木さんと毎日会っているよ」と、いきなり言い出した。

これはちょっとヤバい話かと思ってヒヤヒヤして、「どういうことなんですか?」と聞き返したら、長州さんは、たまに新日本プロレスの道場でトレーニングをしているんだけど、コロナ禍の間は閉まっていて、最近ようやく戻ったからまた通い出した。そうしたら、前は外されていた猪木さんの写真が道場の壁に飾ってあって、それを毎日見ているという話だった。

噛み砕いて聞けばちゃんと分かるんだけど、それを省略して言うから周りは何か深いことを言っているのかなって思っちゃうんだよ。

でも、この謎掛けのような一言が新聞や雑誌の見出しになる。だから、逆にあれは考えてやっているのかもしれないよ。

家族やこれからのことも再確認

今回のパーティーは、イベントが半分で、もう半分は俺の家族や親戚が参加してお祝いをしてくれるという趣旨だった。うちのママと子供たちが最後にバースデーケーキを持ってきてくれて、俺もうれしかったけど、子供たちにとってもいい経験になったんじゃないかなと思う。

息子は体が大きいため、控室で長州さんたちから「もうプロレスやるしかねぇだろ」と言われていてね。俺からすれば、本人がやりたければ止めることもないというスタンスなんだけど、本人はプロレスにまったく興味が無いみたいだね。息子は柔道をやっているから、たまに格闘技の中継を見ていることがあったけど、最近はバスケットボールにハマっているようで、ずっとNBAの映像を見ているよ。

今回、還暦パーティーを開いたことで、家族のことも、これからの仕事のことも、いろいろ再確認ができたと思う。60歳という節目を超えると、今まで自分がいた業界からはどうしても距離ができてしまう。多分、俺もプロレス関連の接点が少しずつ減っていくとは思うんだよ。

それでも、これだけの人が祝ってくれて、支えてくれていることが実感できた。そのことに感謝しながら、迷いなく60代に踏み出して行く決意を持てたイベントだったね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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