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第二次世界大戦と似た構図!? 中国・ロシア・北朝鮮の「新・悪の枢軸」が日本を標的に…

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ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記が約4年5カ月ぶりに首脳会談を行い、軍事協力の「可能性」について協議した。そして、この両国に中国の習近平国家主席も接近する気配を見せている。

米国など西側諸国に対抗することで足並みをそろえた格好の中ロ朝だが、問題は日本が地形上、これらの3カ国に取り囲まれていることだ。今後、台湾や朝鮮半島で緊張が高まった場合、「新・悪の枢軸」が日本を標的とする恐れもある。

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9月13日、金正恩総書記は特別列車でロシアに入り、極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領と対面した。遅刻癖で知られるプーチン氏だが、この日は予定の30分前に現地を訪れ、正恩氏を出迎えている。2人はがっちりと握手を交わし、宇宙技術について話し合うなど親密さをアピールした。

首脳会談の後、正恩氏は朝鮮人民軍の司令官らを従えて、ロシアの最新鋭戦闘機『スホイ57』や『スホイ35』の製造工場を視察。続いてウラジオストクを訪問し、ロシア太平洋艦隊の基地なども視察した。

首脳会談でロシア側が求めたのは、ウクライナ侵攻で不足している武器や弾薬の提供だ。ロシアは現在、年間200万発の砲弾を製造しているが、昨年だけで1000万発以上の砲弾を発射したとみられ、必要量に遠く及ばない。

さらに、北朝鮮に「労働力」を求めたとも報じられた。ロシア軍が実効支配しているウクライナ東部地域の復興のため、北朝鮮の労働者を活用するというのだが、実際は身分を隠した朝鮮人民軍の兵士が送り込まれるとの観測が根強い。

一方、北朝鮮側の要望はロシアのロケット技術や食糧支援などだった。また、プーチン氏に北朝鮮を訪問することを求め、こちらも承諾を得たとしている。

「北朝鮮は、国連安全保障理事会の制裁を受けるなど国際社会でほぼ孤立した状態にあり、これまでは中国だけが頼りだった。北朝鮮とロシアは蜜月ぶりを演出することで、連携して西側諸国と敵対する姿勢をあらわにしました」(安全保障アナリスト)

中・ロ・朝が同盟を結成したら…

9月13日、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、ロシアの支援による北朝鮮の軍事能力向上について「間違いなく重大な懸念になる」と警戒感を示した。

ロシアと北朝鮮の軍事的な関係強化が指摘される中、ロシアのショイグ国防相は両国が合同軍事演習について協議していることを明言した。これまでほぼ一国で国防を進めてきた北朝鮮としては、まさに異例の事態と言っていい。

ここで気になるのが中国の動向だ。習近平国家主席は10月、自身が掲げる巨大な経済圏構想『一帯一路』をテーマに北京で国際フォーラムを開催するが、これに合わせてプーチン氏を招く意向を示している。また、9月23日に開幕する杭州アジア大会に合わせ、正恩氏が中国を訪問するという観測もあるなど、3カ国の結束が強まっている。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出についても、「核汚染水だ」として執拗に反対する中国に、ロシアと北朝鮮が追随する構図になっている。

「アメリカとの関係を懸念する中国が、ロシアや北朝鮮とやや距離を置いているという分析もある。だが、それは中国に余裕がある時期の話だ。現状の中国は不動産バブルの崩壊で経済が落ち込み、国内情勢が不安定になっている。習氏自身も国際会議への欠席が相次いでおり、西側諸国との距離が広がり始めている。国際社会での孤立化が進めば、ロシア、北朝鮮と本格的な同盟関係になる可能性が高まってくる」(同)

中ロ朝が「三国同盟」を結成した場合、世界の安全保障環境は一気にきな臭くなる。

まずヨーロッパでは、ウクライナ情勢が劇的に変化するだろう。ロシア軍に北朝鮮から砲弾やミサイル、さらには兵士が送り込まれるだけでなく、これまで表向きは中立の姿勢を示してきた中国が、大手を振って支援を行うようになれば、ロシアにとって極めて大きな後ろ盾となる。

そして、どこよりもリスクが高くなるのは、日本を含む極東地域である。現状でも北朝鮮は日本の周辺に弾道ミサイルを撃ちまくり、言うまでもなく北方領土にはロシア軍が陣取っている。尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域には、中国海警局の艦船が継続的に派遣され、頻繁に領海侵入するなど挑発行動を繰り返している。

「三国同盟の最大の狙いは、米軍をはじめとする西側諸国が対応しづらい状況をつくることにある。つまり、北海道や尖閣諸島、台湾、朝鮮半島などで、軍事行動を同時に起こすというシナリオだ。ヨーロッパのウクライナと極東に戦線が分断されると、日本はアメリカに守ってもらえず、自国で防衛しなければならない事態に陥る」(軍事ジャーナリスト)

ヨーロッパと極東で戦端が開かれるのは、第二次世界大戦と似た構図だ。歴史は繰り返すのか。

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