最速100マイル超の豪速球で無失点投球を続けているオリオールズの藤浪晋太郎(29)。チームは早々にプレーオフ進出を決め、〝FUJI〟はプロ11年目にして、最も充実したシーズンを送っている――。
「8月まで、チームはア・リーグ東地区の首位を快走していたんですが、9月に入ってから失速してしまい、14、15日(現地時間)の2位・レイズとの攻防戦に連敗してしまいました。この時点でゲーム差ナシです」(米国在住ライター)
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だが、オリオールズ側には悲観的な様相は一切見られなかった。失速の原因はクローザーのF・バティスタの故障離脱、そして、チームの若さだ。優勝目前にして、投打共に個々の成績を落としているのだ。
「そんななか、藤浪は絶好調です。彼の名前がアナウンスされると、『FUJI〜』とスタンドのファンは声援を送っていますし、7月19日に移籍してきてからの防御率は3.76。直近11試合は1.59、9月に入ってからまだ1点も取られていません」(現地メディア/9月18日時点)
古巣・阪神は18年ぶりのリーグ優勝。藤浪も自身のインスタグラムで阪神のチームスローガン「アレ」を用いて、「アレの次はソレよ」と、オリオールズのV争いを楽しんでいた。
「開幕当初は『マイナー落ちは時間の問題、いや、クビだろう』と、評価はボロクソでした。わずか半年でこれだけ評価を変えたピッチャーは、なかなかいません」(前出・ライター)
FUJIを褒めまくる若い選手たち
ノーコン病は完全解消されたわけではない。しかし、捕手の捕球できる範囲には収まってきた。そんな成長の理由だが、現地関係者の多くが語っていたのは「オリオールズの水が合った」というもの。オリオールズは2018年から「シーズン100敗」を喫するほどの壊滅状態にあった(20年はコロナ禍で短縮)。若手に切り替え、ブランドン・ハイド監督(49)も育成に徹し、ジョークを飛ばすなどチームを鼓舞してきた。
「昨季から強くなり、優勝を狙えるまでに若手が成長したんです。伝統球団ではありますが、若い選手が多いので雰囲気が明るいんです」(同)
主将役が正捕手のA・ラッチマン。彼は「FUJIはデリケートな投手」と言い、コントロールミスが出ても、「気にするな。ボールは美しい軌道だったゼ」と、失敗しても藤浪を褒めまくった。
「データ担当スタッフも、『100マイル(約161キロ)の球速ならド真ん中でも打たれない』と藤浪に言い続けました」(同)
9月に入って、直球中心の配球に変えた藤浪。ノセられて、長期不振を脱したのだ。チームが勝ち上がれば、ワールドシリーズでも代役クローザーとして登板するのは必至。〝FUJI〟の時代の到来だ。
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