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ホンダの子会社売却に広がる波紋…“EV化加速”の選択は危うい?

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(画像)jon lyall / Shutterstock.com

EV(電気自動車)化はどこまで進むのか!? 7月4日にホンダが、連結子会社『八千代工業』(埼玉県狭山市)をインドの自動車部品大手『サンバルダナ・マザーサン・グループ』に売却すると発表したことが波紋を広げている。

同社は1950年代からホンダの下請けの中核を占めてきた名門企業。06年に連結子会社となり、現在は燃料タンクやサンルーフを製造しているが、それを売却することで「EV戦略が加速した」と評判なのだ。

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「以前、ホンダは『40年までにすべての新車販売をEV化する』と発表。今年に入っては26年からカーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)燃料の使用が義務付けられるF1への復帰も表明した。また21年には、日立とEV向け電動モーターなどを製造する子会社を設立したが、八千代工業の売却で『EV化がさらに進む』ともっぱらなのです」(経済紙記者)

それでも出遅れに…!?

とはいえ、急激にEV化を進めるホンダの姿勢には、疑問を呈する声も渦巻いているという。昨今は完全なEVシフトに、懐疑的な見方が高まっているからだ。

「35年に全ガソリン車の新車販売を禁止するとしてきたEU(欧州連合)は、ここにきて環境に良い合成燃料を使うエンジン車は認めると方針転換。世界的にEV化が混迷をみせ始めている。そのため『EVに前のめりなホンダは危うい』との指摘もあります」(経済評論家)

一方で、前出の経済紙記者はこう話す。

「トヨタは、今年6月に航続距離1000キロに及ぶEV向け全固体電池を27~28年を目途に実用化すると発表したほど。今回のホンダの子会社売却も、出遅れ感のある日本自動車業界のEVシフトに布石を打つ試みとみられているのです」

果たしてこのEV戦略が、数年後に吉と出るか、凶と出るかが見ものだ。

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