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福島第一原発の処理水放出に中国が海産物全面輸入禁止に…岸田政権の対応は?

岸田文雄
(画像)Alexandros Michailidis/Shutterstock

東京電力は8月24日、福島第一原発事故で溜まり続けている汚染水の対策として、国際的な安全基準に合致した処理水の海洋放出を開始した。この放出に以前から抗議していた中国は、日本の加工品を含む水産物を全面輸入禁止にした。

件の処理水のトリチウム(放射性物質)は海水で薄め、濃度を1リットルあたり1500ベクレル未満に抑えている。この数値は世界保健機関が定める飲料水基準の7分の1未満に該当しており、国際原子力機関からもお墨付きの処理水だ。

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「それだけ配慮しても、中国はイチャモンをつけてきた。日本が処理水を放出した場合、中国は対抗手段として、福島県周辺の水産物輸入禁止措置に踏み切る可能性を示唆していた。しかし、イザ断行すると、日本全体の水産物と水産加工物を全面輸入禁止にするという強行策に出た。日本から中国への水産物の輸出額は、年間約870億円と国別では最大なうえ、そこに水産加工物が加わった。風評被害が拡大すれば、水産業者にとっては深刻な問題です」(全国紙社会部記者)

中国内の経済不況を日本のせいに…!?

気に入らないことがあると、対象国の物資を輸入禁止にするのは、いわば中国の〝お家芸〟だ。

「中国は国内最大級の不動産開発会社『恒大集団』、『碧桂園』、『世茂集団』などが、軒並み経営危機に陥り、経済は崩壊寸前です。若者の失業率は2割を超え、その不満は習近平体制に向かいつつある。経済不況による国民の不満をそらすため、常套手段の反日に出たのでしょう」(金融系シンクタンク研究員)

岸田政権は、中国が仕掛けてきた〝処理水戦争〟に、どう立ち向かうのか。

「全面輸入禁止が長引けば、水産業を中心に日本経済も多大なダメージを受けるが、海洋放出しても安全であることを国際社会にアピールしていくしかない。一方、中国も日本との経済関係は切っても切れないだけに、このままでは返り血を浴びる事態を招く。中国経済は予断を許さない。日本政府から譲歩策を引き出し、早く手打ちにしたいのが本音でしょう」(同)

処理水戦争は我慢比べだ。

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