今年の夏はコロナが5類となったことで、4年ぶりに祭りや花火大会などのイベントが日本各地で再開された。ところが、コロナ禍を経てこれらの観覧が、様変わりし始めている。
『帝国データバンク』の発表によれば、国内で7〜9月に開催される106の主要花火大会のうち約7割が「有料席」を導入。価格もコロナ前と比べ8割以上が値上げに踏み切り、最前席や広い区画のテーブル席、グランピングシート席など多様な種類が導入され、高価格化が進んでいるというのである。
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その内幕をイベント業者がこう明かす。
「その中で最高額は『小田原酒匂川花火大会』(神奈川県・8月5日)の『Sタイプ/ベット席』で、価格は30万円(大人2名)だった。有料席の導入や値上げの要因は、打ち上げ花火の多くを占める輸入花火の価格高騰、観覧客や違法駐車などの警備費、大会後の清掃、仮設トイレといった設備費などの運営コストの増加にあるようです」
花火を“ゆっくり見たい”観覧客増加
また、これに加えて近年は有料席に対するニーズも高まっているそう。大手旅行会社『JTB』が18年に行ったアンケート調査では、花火大会の有料席を「購入したことがある」と答えた割合は15%、「購入したことはないが、検討したい」が21%で、全体で3割超もの利用者が関心を抱いているのだ。
「その理由は近ごろ、大きな花火大会では雑踏や人混みから離れて『ゆっくり見たい』という観覧客が増加しているから。それが、コロナ禍を経てさらに増殖しているのです」(同)
花火大会における高額有料席の出現は世間のニーズではあるが、一方では格差社会の進行とみることもできる。いずれにせよ、かつての「1億総中流」は、夏の風物詩においても〝過去の遺物〟と言えそうだ。
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