社会

この静けさが危ない!? 直下型超巨大地震が首都圏を襲う“令和の関東大震災”発生目前

10 FACE
(画像)10 FACE/Shutterstock

最近、地震が減少している――そう感じている方は多いのではないだろうか。確かに今年5月には国内で震度4以上の地震が計17回も頻発し、5弱以上の地震も6回に及んだ。これは熊本地震が起きた2016年4月以来の多さだったが、このところ震度5以上の地震は起きていない。7月下旬に茨城沖と日向灘で震度4の地震が発生した程度で、まさに〝凪〟を迎えたかのような状態なのである。

【関連】「5月だけで震度4超が17回」大地震への不吉な予兆?関東に波及する”負の連鎖”とは ほか

だが、専門家の間には「それこそが嵐の前の静けさでは!?」と懸念する声も広がっている。中でも南海トラフ地震と並び称される首都直下型地震には、これを誘発するとも取れるさまざまな現象が起きており、一層警戒感が高まっているのだ。

「その筆頭が東京の南約930キロ、小笠原諸島の父島の西約130キロの太平洋上に浮かぶ西之島の火山活動なのです。同島は2013年の噴火以来、溢れ出たマグマで陸地が拡大し続けている。東京大学地震研究所によれば2019年から翌年にかけて、少なくとも1億立方メートルもの火山灰や溶岩を噴出したとされるが、その西之島が今年1月に再噴火。火山活動が活発化に転じたといわれているのです」(科学ライター)

この噴火が不気味に映るのは、同島がフィリピン海プレートの下に沈み込む太平洋プレートとの境界付近に位置しているため。活発化する太平洋プレートの影響で5月には新島・神津島近海で震度5弱の地震が発生したが、この境界付近には相当なひずみがたまっているとみられているからだ。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「そのため、西之島の火山活動は関東沿岸部にかなり圧力を及ぼしていると考えられている。症例の少ない難病のようなもので、それによって首都直下地震が起きるとは断定できないが、次なる関東大震災を引き起こす要因となる可能性も否定できないのです」

“富士山噴火”誘発の可能性

これに加え不安視されているのは、西之島が富士火山帯に当たること。それもあって、最近は富士山の動向も注目されているという。

「専門家の間では有名な話だが、2011年に起きた東日本大震災とその4日後に静岡県で発生した大地震(M6.4)で、富士山のマグマだまりには亀裂が発生、いつ噴火してもおかしくない状態が続いている。また周辺では数年前から河口湖の水位が下がったり、大量の地下水が湧き出したり、林道にひび割れが見つかったりと不気味な胎動が続いているのです」(科学誌記者)

前出の島村氏は「300年以上噴火していない富士山には、大量のマグマがたまっているはず」と語るが、もしも噴火が現実のものとなれば、その際に「令和の関東大震災」が誘発される可能性も高いのである。

また、西之島の噴火活動では「深発地震」が起きる可能性も指摘されている。深発地震とは海洋プレートの内部で起こる震源が60キロより深い地震のことで、近年の代表的な例が2015年5月30日に小笠原諸島西方沖で発生した巨大地震。震源の深さ682キロ、地震規模M(マグニチュード)8.1を記録したこの大地震は、1000キロ近く離れた神奈川県や埼玉県にも震度5前後の揺れをもたらしたが、これが首都直下型地震の発生を促す可能性を有しているのだ。

「実は、深発地震は同じプレート上の浅いエリアを震源とする地震を誘発するといわれている。それもあって、小笠原の地震が今後、関東に大地震をもたらすと指摘する声も多いのです」(前出・科学ライター)

M8級地震の周期が狂っている!?

実際、過去にはこれを裏付けるデータも存在するという。例えば、甚大な被害をもたらした1923年9月の関東大震災(M7.9)の前には、沖合で1905年(M7.4、深さ250キロ)、1906年(M8.4、深さ340キロ)、1910年(M7.4、深さ350キロ)と3回の深発地震が起きていたという。

また、2003年9月に北海道で起きた「十勝沖地震」(M8.0)の2カ月前には、同じプレートの深さ500キロ付近を震源とするM7.1の大地震が起きているのだ。

もっとも、こうした状況で気がかりなのは、次に起こる首都直下型地震がどれくらいの規模かということだろう。政府の地震調査委員会が「今後30年以内に70%の確率で起きる」と警告する首都直下型地震の想定規模はM7.3、最大震度7。死者2万3000人、被害総額は95兆円に上るとみられているが、専門家筋ではM8以上の巨大地震を予測する声が絶えないのだ。

「実は、関東で発生する直下型には2種類ある。70〜80年に一度発生するM7級と約200年に一度起きるM8級で、100年前の関東大震災は後者に当たるのです。ところが、このM8級地震の周期が狂い始めたとの説がある。11年に起きた東日本大震災(M9)で日本全体が東へ数メートル移動し、エネルギーの蓄積が数十年から100年近く早まったといわれているのです」(同)

また、防災ジャーナリストの渡辺実氏はこう語る。

「私のところにも、水害をテーマにしたM9.1の地震に関する講演依頼が相次いでいる。政府以上の被害を想定している地域や行政は、少なくないのです」

地震は減少気味だが、「天災は忘れた頃にやってくる」との言葉の意味を、今一度噛みしめていただきたい――。

あわせて読みたい