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自民vs公明の対立再び!? 9月の内閣改造をめぐり三つ巴の“幹事長ポスト”

岸田文雄
(画像)Naresh777 / Shutterstock.com

内閣支持率が危険水域の30%を切った(毎日新聞7月調査、28%)岸田政権。その足元を見透かすように与党内では9月が有力視される内閣改造、自民党役員人事を睨み、激しい暗闘が繰り広げられている。

「岸田首相は来年9月予定の自民党総裁選再選に向け、ほぼ青写真を固めたようだ。まず内閣改造と党役員人事を今年9月に実施し低迷する支持率に歯止めをかけたうえで、衆院を解散する。総選挙で勝利を収め、政権基盤を盤石にし、総裁選再選に臨むというシナリオだ。いずれにしても、第一歩は内閣改造と党役員人事。改造の目玉である幹事長ポストの権力闘争はもう始まっている」(岸田派幹部)

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キーパーソンである茂木敏充幹事長は昨年7月の参院選、そして今年4月の5国政補選のうち4つを自民党の勝利に導いている。

「岸田首相の後見人の麻生太郎副総裁も茂木幹事長を高く評価している。だが、10増10減の衆院小選挙区候補を決める段階で公明党と自民党は対立した。公明党は、その混迷の原因は茂木幹事長にあるとし、茂木更迭論に傾いている。さらに、茂木幹事長は『児童手当の所得制限撤廃』など首相が語るべき政策まで踏み込み発言し、首相周辺の怒りを買っている。岸田派内では『茂木幹事長を代えるべき。幹事長が代われば政権に新鮮味が出て支持率アップにつながる』という声が日増しに強まっています」(自民党関係者)

旧統一教会と近い存在の萩生田氏

その幹事長ポストを狙う筆頭候補は、萩生田光一政調会長だ。

「萩生田氏が幹事長になれば、いまだ決まらない最大派閥の安倍派会長の座も積極的に取りに行くだろう。萩生田幹事長なら岸田政権にもピリッと一本芯が通るはず」(萩生田氏シンパ)

人事権を握る岸田首相は、萩生田氏の幹事長抜擢に迷いがあるという。

「煮え切らない岸田首相に対し、安倍派内から政策批判も出ている。特に高齢者から評判の悪いマイナンバーカードと健康保険証を来年秋までに一体化させ、健康保険証を廃止する問題です。同問題で萩生田氏と安倍派の実力者、世耕弘成参院幹事長らは延期論を主張し始めた。マイナ健康保険証一体化は内閣の支持率低下の根本原因で、自民党支持率低下にもつながっていると分析している。萩生田氏らは延期論を説くことで組閣、党役員人事で安倍派を冷遇するなら倒閣も辞さない、と岸田首相にプレッシャーをかけているわけです」(全国紙政治担当記者)

自民党内では、萩生田氏や世耕氏らのマイナ健康保険証一体化延期や代替案検討が支配的になりつつある。

「岸田首相が延期論や代替案をのみつつあるということは、首相の中で萩生田氏を幹事長に据える芽が出てきている証しだ。だが、萩生田氏は旧統一教会と近かったことが判明している。萩生田氏が幹事長なら旧統一教会問題が蒸し返され、政権運営にダメージを与える可能性もある。また、茂木氏は幹事長を外されれば、反岸田で動く構え。現在の岸田政権を支える岸田派、麻生派、茂木派の3主流派の構図が崩壊する。それでも岸田首相は茂木氏を外し、最大派閥の安倍派100人を選ぶのか悩みどころ」(前出・岸田派幹部)

マイナンバー混乱責任は河野氏に

幹事長ポストをめぐっては、別の選択視も浮上している。新たに幹事長候補としてささやかれるのは、茂木派の小渕優子元経産相。優子氏は故・小渕恵三元首相の娘で将来を嘱望されたが、2014年、政治資金問題で経産相辞任に追い込まれている。

「優子氏周辺では幹事長、官房長官説が早くから飛び交っていた。女性の幹事長、官房長官は初めてだけに国民に猛アピールできる。岸田首相としても実現したいところ。ただ、9年前の政治資金問題で東京地検が家宅捜索した際、会計書類を保存したパソコンのハードディスクがドリルで破壊されていたことから隠蔽工作と批判されたのがネック。小渕氏は『ドリル優子』とも呼ばれている。小渕幹事長なら『ドリル幹事長』と揚げ足を取られかねない」(自民党ベテラン秘書)

幹事長ポストと同時に注目される、マイナンバーと健康保険証一体化を担う河野太郎デジタル相の処遇はどうか。

「内閣改造では河野氏が混乱の責任を負わされ、デジタル相から外れる方向です。河野氏辞任は総裁選レースからの脱落を意味する。新デジタル相には最新テレビ調査でポスト岸田で再びトップに躍り出た小泉進次郎氏の大抜擢もある」(同)

連立政権を組む公明党が10年以上も押さえている国交相ポスト争いもし烈だ。自民党が公明党に国交相を譲ってきたのは選挙協力で約50人近い自民党議員が〝公明フレンド票〟に救われてきたことが背景にある。

「公明党の支持母体・創価学会の集票力も落ちている。05年の衆院選比例約900万票をピークに、昨年の参院選比例は約620万票まで激減しており、自民党にとっては魅力が薄れている。公明党に国交相ポストを返上する機運はゼロ。自民党内では国交相を返せないなら連立を再考すべきという強硬論も出ています」(前出・全国紙政治担当記者)

組閣をめぐる暗闘は、ヒートアップしている。

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