ここ数年、顧客や取引先から過剰な要求をされたり、商品やサービスについて不当な言いがかりをつけられる迷惑行為、「カスタマー・ハラスメント」(カスハラ)が社会問題化している。
厚生労働省の有識者検討会は6月20日、カスハラ被害を労災認定基準に新しく加えるよう提言、同省は秋にも通達を出して運用を改める方針を打ち出した。
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全日本交通運輸産業労働組合協議会の調査によると、タクシー運転手の58%が「カスハラ被害に遭った」と訴えているという。近年のカスハラ傾向について、同協議会関係者がこう語る。
「SNS上で運転系の動画がバズりやすく、カスハラ投稿が増加しているのです。コロナショックで運転手不足に陥ったタクシー会社はサービスにバラつきが出ており、それに言いがかりをつけられる被害が多発しています」
理不尽なクレームで精神障害へ
こうした深刻な被害を受け、国土交通省では今夏を目途に道路運送法に基づく省令で義務付けられている、タクシー運転手の氏名表示や顔写真の提示を廃止する方針だ。
また名札はスーパーやコンビニ店員も付けているが、これらに対するカスハラも増加中。2019年度の精神障害による労災申請で「顧客や取引先から無理な注文を受けた」「顧客や取引先からクレームを受けた」などの理由による支給件数は9件、うち自殺例(未遂を含む)が4件もあった。
「こうした例は枚挙にいとまがないようで、クラウド会計ソフトを販売する『freee』では、昨夏にカスタマーセンターに悪質な電話がかかり、オペレーターが休職に追い込まれたこともある。そのため、カスハラに該当するクレームがあった場合は、サービスの提供を断ることもあるとしています」(生活ライター)
理不尽な要求に対しては、毅然とした態度で臨まないとカスハラはなくならない。
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