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孫正義オーナーの“チャットGPT采配”が裏目に…!? ソフトバンク12連敗の舞台裏

孫正義
(画像)glen photo/Shutterstock

2023年、パリーグ断トツの優勝といわれたソフトバンクホークスが、波に乗れない。7月24日には悪夢の12連敗を喫し、オリックスどころかロッテにも突き放された。最大の問題は、孫正義オーナーの〝直接采配〟。再浮上の可能性はあるのだろうか?

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「孫氏の兵法」、敗れる――。開幕前、圧倒的優勝候補に挙げられたソフトバンクホークスが悪夢の12連敗。その惨劇を生んだのが、孫正義オーナーによるチャットGPTを活用したAI(人工頭脳)采配。陣頭指揮が裏目に!?

「最下位に転落しても、藤本博史監督の休養はあり得ません。なんせ、12連敗の原因がオーナー自身にあるのですから…」

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そうため息をつくのは、ソフトバンクホークス担当記者だ。7月24日のロッテ戦で守護神R・オスナが逆転サヨナラ2ランを浴び12連敗。1969年(当時は南海)の15連敗以来となる、54年ぶりの屈辱だった。

連敗が始まる前の時点で貯金15。オリックスに1.5差を付け首位を走っていたが貯金3に。首位オリックスに8差の3位に後退した。

当然、「藤本博史監督休養」→「小久保裕紀二軍監督の監督代行就任」も予想されたが、陣営からそんな声は少しも聞こえてこない。

「今回のダッチロールを招いたのはオーナー自身。監督は指示に従っただけで責められません。そう、孫オーナーがゾッコンの対話型AIチャットGPTを活用した采配です」とは、地元テレビ局スタッフだ。

球団のことは王貞治球団会長に一任し、現場には介入しなかった孫オーナー。その禁を破って陣頭指揮に転じたのが、6月26日の「鷹の祭典2023 in東京ドーム」の楽天戦だった。ホーム用ユニホームで人生初の始球式を行い、「このままぶっちぎって優勝してもらう」と監督、選手に檄。王会長も「今年は10ゲームくらい離してゴールする」と気合を入れた。

競馬とは違い結果“裏目”に連敗へ

自信の裏付けは、チャットGPT。アメリカのAI開発会社がWebアプリとして公開しているチャットボットだ。あらゆる問いにすばやく簡単に回答。対処すべきアイデア、プロジェクト、改善案を分析する。

政府の生成AIへの期待も大きい。国家公務員の働き方改革に向け、大臣の国会答弁をチャットGPTに書かせ、それを活用して答弁書をまとめる案を検討している。野党議員の質問通告が前夜になった場合、答弁書を丸投げされた担当職員は徹夜の作業を強いられる。その対処支援である。

孫オーナーも毎夜チャットGPTと対話しながら、あらゆる戦略を練っていることを明かしている。ホークスも例外ではなく、改善点を見つければ、24時間体制で待機する秘書団を通して球団に届けている。

「アメリカの金融大手、ゴールドマンサックスは、生成系AIでこの先、3億人の仕事が自動化できると分析している。グループ全体でチャットGPTを活用したビジネス展開を図る会長が、旗艦に選んだのがプロ野球。これを使って戦略・戦術を練り現場のコーチ・スコアラー陣が手直しして作戦に仕上げる。これなら一般人も分かり易い」(ソフトバンクグループ幹部)

競馬では、馬券販売の締め切り間際に特定の馬のオッズが急激に下がることがあるが、不思議とこの馬が来る。夕刊紙の競馬担当記者が、この謎を説明する。

「前日に印を打った予想家集団が、レース前にAIを使って馬券の売れ行き状況や返し馬の状態を分析し、『これを買え』と買い目を修正する。締め切り直前に急激にオッズが下がる馬は要注意。確かによく当たる」

ところが、競馬と違ってソフトバンクのAI采配はことごとく裏目に。25日のオリックス戦で19日ぶりに連敗を止めた藤本監督は「呪われているんじゃないけど、何をやってもうまくいかなかった」と吐露し、雲上からの声が悪夢の一因だったことを示唆した。

チャットGPTと重なる時期…

12連敗のうち、2得点以下だったのが10試合。パの個人打率を見ると2位柳田悠岐、4位近藤健介、6位牧原大成、8位中村晃…ベスト10にソフトバンク勢がズラリ(1位はオリックス頓宮裕真)。リーグ随一の攻撃力を有しながら機能しなかったのは、そのためだ。

「チャットGPTの基となるデータは21年9月までのため、直近2年のルーキー、若手急成長投手に対処できませんでした。さらにエース・千賀滉大(メッツ)がメジャーに移籍したため、空前絶後の大補強を実施したことも大きな誤算でした」(前出・担当記者)

7年50億円の近藤健介(前日本ハム)を筆頭に1年6.5億円のオスナ(前ロッテ)、3年15億円の有原航平(前レンジャーズ)、1年1.8億円のA・デスパイネ(出戻り)、1年1.6億円のJ・ガンケル(前阪神)、4年3億円の嶺井博希(前DeNA)…。総額82億円という異次元の大補強だ。

「他球団が狙っていた選手を根こそぎ獲得した以上、使わざるを得ない。一方でAIは用兵に注文をつけ、調子を上げた若手選手の起用を勧めたがるから、監督はたまったものじゃない。12連敗とチャットGPT采配を始めた時期が重なり、敗因は自ずと分かる」(スポーツ紙デスク)

しかし、そこは日本のIT企業のトップランナー。わずか10日で問題点を修正。12連敗直後のオリックス戦では、侍ジャパンの右左のエースを攻略して連勝した。

有原が山本由伸と投げ合って完封勝利すれば、宮城大弥には18年にMLBアトランタ・ブレーブスからの1巡目指名を蹴ってソフトバンク入りしたカーター・スチュワート・ジュニアを起用。5年かけて育てた秘密兵器が踏ん張り、来日初勝利を挙げた。

親会社のソフトバンクグループは市場環境の変化で経営危機に直面したことは何度もあったが、その都度、新たな事業展開でグループを拡大。今回も12連敗という代償を払ったが、生成AIから得たものも大きい。

4年連続の日本一から3年。12連敗した今がチャートの底。ジェットコースター経営と呼ばれる「孫氏の兵法」が失敗を糧に改変し、反転攻勢に導く?

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