『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』KADOKAWA/1650円
青柳貴哉(あおやぎ・たかや)
1981年生まれ、福岡県出身。お笑いコンビ『ギチ』として、2017年まで吉本興業に所属。現在はYouTubeにて、ホームレスの実態に迫るドキュメント番組『アットホームチャンネル』を運営。これまで延べ100人以上のホームレスを取材。
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――青柳さんが「ホームレス」に興味を持つようになったきっかけは、何だったのですか?
青柳 以前、ゴミをあさっているホームレスにチョコレートを渡したところ、激怒されるという経験をしました。それ以降、公園に置かれた大量の荷物や駅構内に敷かれた段ボールなど、ホームレスの生活の痕跡が目に止まるようになり「ホームレスって一体何なんだろう?」と考えるようになったのがきっかけです。
――「トー横キッズ」(東京・新宿歌舞伎町に集まる少年少女たち)が話題になっていますが、どのような若者が集まってきているのでしょうか。
青柳 まず、見た目は本当にさまざまです。髪を派手に染め、ドン・キホーテ以外では手に入らないであろう目立つキャラモノTシャツを着ている子もいれば、細い黒いブチメガネの優等生のようないでたちの子もいます。ただ、彼らに共通しているのは〝精神的な居場所がない〟ということでした。彼らの話を聞くと、親、兄弟からの虐待など〝家庭内の問題〟を口にする子も多かったですね。
Z世代へ“甘え方の教育”
――2020年にYouTubeで『アットホームチャンネル』を開設しました。これまでどのような反響がありましたか?
青柳 投稿動画の本数や登録者の数が増えるにつれて「ホームレスの見方が変わりました」「私にも何か協力できることはないでしょうか?」といったメッセージを頂くことが増えました。これは予想していませんでしたね。チャンネルが大きくなるにつれて、仲間が増えていくような不思議な感覚がありました。『15歳のホームレス中学生』の動画は、ショッキングなタイトルもあり、かなりの再生回数を記録しましたが、再生回数ばかりを気にしてしまうと、モチベーションが続かなくなってしまうので、今は意識しないようにしています。
――多くのZ世代ネオホームレスを取材して、どのような印象を持ちましたか?
青柳 Z世代のネオホームレスと話していて〝甘えるのが下手だな〟という印象を受けました。今の若者はネットを駆使して自分で問題を解決するスキルはすごいのですが、〝親と仲直りしたい〟〝友達を作りたい〟〝人に好かれたい〟といったことはグーグルでは教えてくれません。僕ら大人からすれば、些細だともとれる問題が解決できず「死にたい」に至っているように感じます。時代と共に今の子供たちを取り巻く環境は大きく変化しています。〝甘え方の教育〟が、Z世代を救うために必要なのではないかと考えています。
(聞き手/程原ケン)
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