契約延長か、トレードか。エンゼルス・大谷翔平の去就問題が注目されているが、果たしてどんな決着を見せるのか…。ボンヤリとだが、ようやくその輪郭が見えてきた。
今季19度目の投打同時出場、〝リアル二刀流〟となった7月21日(現地時間)のパイレーツ戦で、大谷は8勝目を挙げた。6回3分の1を投げ、被安打6、失点5。奪三振数は9。だが、決して本調子ではなかった。「打者・大谷」も1打数ノーヒット、3四球だった。
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「調子が悪いなりに、なんとか責任イニングを投げ、打者としても『出塁』という。最低限の仕事をしたって感じ」(現地メディア)
この日の試合に関しては、厳しい論調が多かった。
《大谷は『らしくない』つらい7月を送っている。これまで登板3試合で自責点は既に14に膨れ上がり、防御率8・10だ》
アメリカのラリー・ブラウン・スポーツがそう伝えれば、対戦したパイレーツの地元紙ピッツバーグ・トリビューンレビューも《この日に限っては、大谷も『当代の逸材』というより『不死身ではないヒト』に見えた》と報じていた。
ビジターゲーム後ではあったが、大谷は記者団の取材要請に応じている。しかし、質問は試合に直接関係のない、「去就問題」に集中してしまった。
「アメリカのカリスマ的野球記者、ジョン・モロシ氏が『エンゼルスは大谷の放出トレードに応じる。ただし、求める交換要員のレベルが高いので』とテレビ番組で発言して以来、大谷の去就問題が騒がしくなってきました」(現地記者)
エンゼルスは検討段階に入った
この日も「去就」について聞かれると、大谷は「(チームと)そういう席は設けていない。シーズンはシーズンで集中したい意志も変わっていない」と、一連の騒動を否定した。だが、エンゼルスには複数年契約の途中だったマイク・トラウトと、さらなる延長契約を結び直した前歴がある。
大谷とエンゼルスとの契約は、今季終了と同時に切れる。「再契約、残留が優先か?」の問いも出たが、「ペリーGMもクラブハウスで見かけていないし、週に1回会うかどうかという感じ。あまりそういう話は…」と言葉を強めた。去就の話は聞かないでくれと言わんばかりだった。
騒動の根源であるモロシ記者だが、20日にまた新たな情報をテレビ番組中に発したという。
「エンゼルスは他球団から(大谷の交換トレード)のオファーを聞いているが、それに対して決断するかどうかはチームの成績次第。関係者によれば、トレード期限は7月末に迎えるが、そのデッドラインの24時間から48時間前まで待つことになるだろう」
すでにエンゼルスは、大谷放出も視野に入れた検討段階に入ったというわけだ。
同時に、こんな情報も飛び込んできた。トレードの有無に関係なく、今オフ、大谷は来季以降の新契約の交渉に入る。これまで、大谷の去就について、多くのことが報じられてきた。しかし、そのほとんどが「年俸の高さ」を主テーマとしていた。
「年俸の高さも選手を評価する大事な基準です。でも、『総年俸5億ドル』(約708億円)とか言われても、それは5年以上の長期契約になります。どうも、大谷は終身雇用のような長期契約は望んでいないようなんです」(前出・地元メディア)
「とりあえずは3年」
去就問題のほかに、トレーニング論からアプローチする大谷報道もあった。
今季、ホームラン王争いでトップを快走中だが、その秘訣として「パワーアップ」が挙げられていた。しかし、同時に「打者・大谷にとって、腕が太くなったのはプラスだが、投手としてはマイナスのはず。なぜ、投打どちらも絶好調なんだ?」との疑問の声も出ていた。
「大谷は、〝二刀流は短命〟の解釈も持っています。投打のどちらかがダメになったら残った方に専念するかもしれませんが、可能な限り、投打の両方でトップを目指すのが彼の信条です。大谷は、自身の野球人生のピークは30代前半と捉えています」(NPB関係者)
何が言いたいかというと、大谷は次に結び直す新契約では「長期契約を望んでいない」ようなのだ。二刀流への理解と協力が最優先事項にあって、30代を迎えるにあたり、「とりあえずは3年」とみているそうだ。
「これは今春のWBCに関係したスタッフから出てきた話です。契約期間の長さは関係ないと。優勝争い以外で聞こえてきた大谷の新契約に関する希望です」(前出・同)
また、5年か6年の希望もあるそうだ。これは30代半ばになり、二刀流の投打の割合が現在の『1対1』から、打者部門に重きを置いた『3対1』になっても球団側が構わないとするもの」(同)
大谷は2026年3月の第6回WBCのシーズンにピークを持って行こうとしているようだ。
「次回大会、ダルビッシュ有がいるかどうか分かりません。今年のダルのように26年侍ジャパンをまとめることが目標で、大谷は学生時代、そのダルと松井秀喜氏の大ファンでした。09年の松井氏のようにワールドシリーズでMVPを獲る夢があり、3年後にピークを目指す意味でも、26年までの3年契約はちょうどいいんです」(同)
新契約の交渉では、次回のWBCに関する内容も出てきそうだ。侍ジャパン合流の確約ができるかどうかが重要だ。
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