中国の習近平政権により、沖縄の「サイレント侵略」が着々と進んでいる。7月上旬には同県の玉城デニー知事らを招いて歓待し、沖縄と中国が歴史的にも深い関係があることを印象付けた。尖閣諸島問題をめぐって緊張感が高まる中、日本政府と沖縄の分断工作にしてやられた格好だ。
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日本国際貿易促進協会の代表団の一員として中国を訪れた玉城氏は、同国ナンバー2の李強首相と会談する厚遇ぶり。同協会の会長を務める河野洋平元衆院議長も親中派として知られるが、今回の「主役」は玉城氏だった。
訪中前には中国メディアの『環球時報』に、玉城氏のインタビューが大きく掲載された。玉城氏は「日米両国の政府が、平和外交と対話を通じて緊張を緩和させるべきだ」と述べ、中国ではなく日米に注文を付けた。
李氏との会談でも玉城氏は日中友好を強調し、ビザの手続き緩和や中国と沖縄間の直行便の増便を要請。一方で、中国が軍事的圧力を強める尖閣諸島問題については言及せず、習政権にとっては願ってもない対応だった。
沖縄を狙った中国側の下準備は1カ月前から行われており、6月4日付の『人民日報』には習国家主席の発言が掲載されている。
“中立的な立場”を印象付ける
「私が勤務していた福州市には琉球館や琉球墓地があり、琉球との往来の歴史が非常に深いことを知った」という内容で、琉球館は15世紀から19世紀にかけて、中国福建省に存在した琉球王国の出先機関。琉球墓地には同地で亡くなった琉球の人々が葬られている。
「玉城氏は沖縄の米軍基地に批判的で、日本の中央政府とも距離がある。尖閣諸島周辺で自由に行動し、太平洋沖に艦隊を展開させたい中国としては、琉球(沖縄)との歴史的な関係を強調し、沖縄が日米と中国の間で中立的な立場だということを印象付ける狙いがあった」(外交関係者)
中国海警局の船舶は、毎日のように尖閣諸島周辺の接続水域や領海内に入り込むなど、傍若無人な振る舞いを見せている。
中国では改正「反スパイ法」が施行され、外国人が摘発されるリスクも高まり、アメリカ政府は自国民に中国渡航を再考するよう勧告している。中国との往来を活発にしようとしている玉城氏の行動とは、極めて対照的だ。
「米軍基地や日本政府への反発は玉城知事だけでなく、多くの沖縄県民の中に浸透しているのも事実です。ただ、それだけに中国が付け込む余地がある。沖縄の一部には独立論もあり、中国としてはこうした声を巻き起こすことで、日本政府の関与を弱めて分断を図ることができる」(同)
沖縄はいつの日か、中国に併合されてしまうのか。
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