朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正党副部長は7月10、11日と2日連続で談話を発表し、米空軍の戦略偵察機が北朝鮮の日本海側の排他的経済水域(EEZ)上空を侵犯したと主張した。
与正氏は米軍が侵犯を繰り返す場合には、「非常に危うい飛行を経験することになるだろう」と警告。軍事的な対応に乗り出すと改めて威嚇した。
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韓国に対しても「大韓民国軍部はまたも米軍の挑発的な行動に関連して、『韓米の正常な飛行活動』というふてぶてしい主張を展開し、わが主権に対する侵害事実を否定した」と指摘。韓国軍に「生意気に振る舞わず、直ちに口を閉じるべきだ」と警告した。
「韓国は金大中政権以降、北朝鮮への外交的な緊張緩和政策を採用してきましたが、これに対して現職の尹錫悦大統領は事実上の『ノー』を突き付けました。当然、北朝鮮も態度を硬化させており、これまでの〝同族だから無慈悲なことをしない〟という姿勢から転じ、いつでも戦闘状態に入るという主張をあらわにしています」(外交関係者)
一方で北朝鮮は7月12日、正恩氏の立ち会いのもと固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星18型』の発射実験を実施し、成功したと発表した。固体燃料式ICBMの発射成功は4月13日に続き、2回目となる。
国民の不安はそれるのか…
この発射は日米韓の首脳が同月12日(現地時間)、リトアニアで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合に集まる時期に合わせている。
「5月末の軍事偵察衛星の打ち上げには失敗しましたが、再び存在感を示し、日米韓をけん制する狙いがあるのでしょう。また、7月27日には、朝鮮戦争の休戦協定調印から70周年を迎える。北朝鮮は同日を『戦勝記念日』と自称しており、軍事パレードを開催して最新兵器を披露するという見方もあります」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮は再三にわたりミサイルを発射しているが、米韓の姿勢を変えさせる効果はなく、逆に米韓ばかりか日本も含めた連携を強化する結果となっている。
「正恩氏は国内に目立った業績がない。経済状況が極めて厳しく、餓死者まで出ている現状では、国民の不満を外に向けさせるしかないのです」(同)
『火星18型』発射翌日の7月13日、米軍は核攻撃が可能な戦略爆撃機を朝鮮半島に展開し、対北朝鮮への警告レベルを大きく高めた。この訓練には韓国軍も共に参加している。
「米韓対北朝鮮の威嚇合戦が、非難の応酬から直接的な軍事行動に訴える危険な段階に入ったということです」(軍事ジャーナリスト)
米韓と北朝鮮の対立は危険なチキンレースの様相を呈している。
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