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北朝鮮ではすべてがミサイルに化ける!? 金正恩の失政続きで国民が犠牲に…

金正恩
(画像)Goga Shutter/Shutterstock

7月8日は北朝鮮の初代指導者、金日成主席の命日だった。北朝鮮メディアは、金正恩総書記が祖父の死去29年の命日に際し、遺体が安置されている平壌・錦繍山太陽宮殿を訪れたと報じたが、正確な日時は不明で、写真も公開されなかった。

「このところの正恩氏は動静が途絶えることも多く、体調不良で元気がありません。しかも穀倉地帯が未曽有の干ばつに襲われた影響で、食糧危機に加えて飲料水もなく、民生は破綻寸前です。国民に後ろめたいものがあるので、太陽宮殿を訪れた写真の掲載がなかったのでしょう。あるいは米韓に知られるとまずい体の異変があったのかもしれません」(外交関係者)

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北朝鮮のカリスマである日成氏に容姿を似せるため、正恩氏は何度も整形手術を行っている。

「日成氏は『すべての人民が瓦葺きの家に住み、白米や肉汁を思う存分に食べられなければならない』との遺訓を残しましたが、同氏の再来を自称した正恩氏の時代になって、すっかりこの遺訓も色あせました。食糧がすべてミサイルに化けてしまうからです」(北朝鮮ウオッチャー)

北朝鮮は5月31日、平安北道鉄山郡の西海衛星発射場から、軍事偵察衛星『万里鏡1号』を搭載した新型の運搬ロケット『千里馬1型』を発射した。しかし、1段目の分離後、2段目のエンジンが正常に点火せず、朝鮮半島西側の黄海上に落下。北朝鮮の国家宇宙開発局は失敗を認め、「可能な限り早期に再度発射する」と表明した。

「北朝鮮は今年1〜3月で、昨年1年間の総量を上回る約7万6000トンのコメを中国から購入しています。通常は食べない安価な長粒米も買い入れており、食糧難は深刻化していますが、今回の打ち上げ失敗によりコメ200万トン分の資産を失ったとみられます」(同)

国民の食糧がミサイルに変わる!?

韓国は北朝鮮の6日前、5月25日に衛星8個を搭載したロケット『ヌリ号』の打ち上げに成功した。韓国より先に宇宙開発を始めていた北朝鮮は、これを妬んで無理やり打ち上げを強行したのだが、赤っ恥をかいただけに終わった。

韓国の大手新聞『朝鮮日報』は6月28日、韓国軍高官の話として、引き揚げたミサイルの残骸からロシア製と推定される部品の一部を発見したと伝えた。ロシアから技術移転を受けているのは明らかである。

韓国軍は7月5日、万里鏡1号の残骸の引き揚げ作業を終了したと発表。米韓両国の専門家はこれを詳細に分析した結果、偵察衛星として軍事利用に値する性能はまったくないと「落第点」の評価を下した。

「北朝鮮は2021年1月の朝鮮労働党大会で、兵器開発5カ年計画を公表しましたが、軍事偵察衛星はそのうちの重要課題の一つです。何とか体裁を整えるため、今後も国民の食卓から食糧を奪い、ミサイルに金をつぎ込むでしょう」(国際ジャーナリスト)

北朝鮮は25年までに、首都の平壌市内に5万世帯分の住宅を建設するプロジェクトを推進しているが、同国ではマンションの形状までICBM(大陸間弾道ミサイル)に似ているという。

「平壌の和盛地区には、天に向かって並んで立つ2棟の高層マンションがあるのですが、これが北朝鮮の誇るICBM『火星』シリーズによく似ている。そもそも和盛地区は名称からして火星にかけてあり、国民に結束を呼びかける意味があるそうです」(韓国紙記者)

最悪は死に至る…

市内北西部の西浦地区では、今年中に4000世帯分の住宅を完成させる目標の下、突貫工事が進められている。労働の担い手は社会主義愛国青年同盟の傘下組織『速度戦青年突撃隊』で、ほぼ強制動員された建設ボランティアだ。

「1日10時間の重労働を無報酬でこなしても、主食はトウモロコシです。おかずは塩漬けの大根と大根の葉のスープ。トウモロコシばかり食べていると『ナイアシン欠乏症』という栄養障害になるとされ、皮膚炎や下痢の症状に見舞われて最悪は死に至ります。現場ではバタバタと人が倒れており、抜本的な改善策を実行しない限り今年中の完成は難しい。住宅供給は民生政策の目玉ですから、達成できなかったときは正恩氏が激怒し、責任者には厳罰が科されるでしょう」(同)

正恩政権は「人民経済発展の重要高地」として12の重点課題を掲げている。筆頭は穀物であり、その後に電力、石炭、圧延鋼材、非鉄金属、窒素肥料、セメントなどが続く。

毎年の恒例行事となっている「田植え戦闘」は、穀物の中心であるコメの増産につながるので、こちらも国民は多大なる犠牲を強いられる。

「暑さの中で行われる最近の田植え戦闘では、熱中症などによる死者が続出し、昨年は短期間で50人を超える犠牲者が出ています。今年、田植えが不調に終われば、秋の収穫量はどん底になるでしょう」(前出・北朝鮮ウオッチャー)

正恩氏の失政が続く限り、北朝鮮の国民に明るい未来は見えない。

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