すべては、先の衆参5補欠選挙(4月23日)から始まったといっても過言ではない。岸田文雄首相は、いまや絶好調である。
日韓首脳会談は成功裏に終わり、日韓関係は正常化に向け歩を進めている。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけは5類に移行し、日本も日常生活が戻りつつある。そして首相の地元、広島県では先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が開幕。内閣支持率も安定している。
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衆参補選をめぐっては最悪1勝4敗とささやかれたが、いざふたを開けてみれば4勝1敗で、自民党執行部は胸をなでおろした。
この1敗とは、岸本周平前衆院議員が和歌山県知事に転身したことに伴う衆院和歌山1区のことである。軍配は日本維新の会の候補者に上がったが、全国紙政治部デスクはこう見る。
「負けたとはいえ、和歌山で敗れたのは首相にとってラッキーだったと言わざるを得ません」
二階氏“岸田おろし”ならずか…
同区の候補者選考をめぐっては、自民党の二階俊博元幹事長と世耕弘成参院幹事長の確執を抜きには語れない。そもそも、二階氏は知名度の高い鶴保庸介参院議員を擁立する腹積もりでいた。これに「待った」をかけたのが、衆院への鞍替えを狙っている世耕氏だった。
次期衆院選で和歌山の小選挙区数は3から2に削減され、鞍替えは狭き門となる。
そんな状況下で、世耕氏は同じ参院議員の鶴保氏に先を越されるわけにはいかない。最終的に二階氏の意向を押しのけ、自民党は元職の門博文氏を擁立した。
意中の候補ではなかったとはいえ、県連会長の二階氏が補選で何もしないわけにはいかず、選挙戦最終日に、自身に近い東京都の小池百合子知事を投入したが、門氏は落選。二階氏の力のなさを印象付けてしまった。
「二階氏は、非主流派の代表格。いずれ菅義偉前首相を担ぎ〝岸田おろし〟に動くとみられていたが、和歌山敗北で二階氏の影響力は凋落した」(前出・デスク)
政敵を蹴落とし、補選全体で勝ち越す。まるで「肉を切らせて骨を断つ」を絵に描いたような展開に岸田首相の高笑いは止まらない。
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