4月26日(現地時間)、米国のバイデン大統領と韓国の尹錫悦大統領がホワイトハウスで会談し、核戦力の強化を進める北朝鮮を視野に、拡大抑止を強化することで合意する「ワシントン宣言」に署名した。
「米韓は宣言の中で、核抑止を議論する『核協議グループ(NCG)』を創設することにも合意しています。一方の北朝鮮はすぐさま敏感に反応し、金与正党副部長の談話として『より深刻な危機につながるものだ』と警告を発しました」(外交関係者)
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NCGは北大西洋条約機構(NATO)の核計画グループ(NPG)に倣ったものだが、尹大統領は今年1月、韓国の核武装の可能性をほのめかして衝撃を与えている。
「バイデン大統領はこの問題にブレーキを掛け、宣言文の中で米国が納得できる形に修正しました」(同)
バイデン大統領は記者会見で「朝鮮半島への核兵器の再配置は行わない」と明言しており、在韓米軍への核兵器の配備や韓国軍との核兵器共有を否定している。
「その代わり米国は韓国に対して責任を果たす、もう一つのサインを送りました。それが米軍による戦略資産(兵器)の定期的な韓国訪問です」(軍事ライター)
米海軍のオハイオ級(1万8750トン級)戦略原子力潜水艦『メイン』が、近く韓国に寄港する見方が強まっている。それを裏付けるように、米太平洋艦隊司令部は米韓首脳会談前日の4月25日、異例にも『メイン』がグアム基地に入港した際の写真を複数公開した。
『メイン』でプレッシャーを与える
朝鮮半島への戦略原潜の展開は宣言履行の象徴だ。オハイオ級の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は核弾頭を最大8個搭載可能で、北朝鮮全土を灰燼に帰すだけの破壊力を持つ。
「5月19日から広島で開催されるG7サミット(主要7カ国首脳会議)に合わせ、核武装した『メイン』を釜山基地に寄港させる方向で検討されているという。米海軍の戦略原潜が韓国に寄港するのは、1981年3月の『ロバート・E・リー』以来42年ぶりです」(同)
平時より居場所を隠して潜行している戦略原潜の存在をあえて「見せる」ことで、北朝鮮にプレッシャーをかけるのが米国の狙いなのだ。
「米韓は北朝鮮に対して、『核攻撃の際には政権の終末を迎えるだろう』と強く警告し、それを実際の行動で示しています」(国際ジャーナリスト)
尹大統領は3月に日本を訪問し、岸田文雄首相と12年ぶりに首脳会談を行った。そして5月7日には岸田首相がソウルを訪れ、首脳会談を行っている。
これもまた北朝鮮の金正恩総書記に対して、大きな抑止力となることを期待したい。
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