またしても、貴重な人気力士の電撃引退だ。それも、何とも後味が悪い。
大相撲夏場所(両国国技館)の初日を10日後に控えた5月4日、今場所、幕内に復帰したばかりの西前頭13枚目の逸ノ城が、唐突に引退したのだ。
5場所前の昨年の名古屋場所には幕内初優勝、先場所は十両優勝し、年齢も30歳という働き盛りの〝モンゴルの怪物〟。表向きの引退理由は腰痛だった。逸ノ城が腰の痛みに苦しんでいたのは事実。体重が関取最重量の200キロ超、腰にかかる負担は相当なもので、2月に手術に踏み切っているが、改善しなかった。
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「歩くのも、横になるのも、つらい」
逸ノ城は、引退会見でこう明かしている。
「相撲が取れないほど痛かったら、とりあえず休場したらいいじゃないか。休んでじっくり治療に専念しても、5月と6月は幕内の給料の140万円、十両に下がる7月、8月は110万円が黙っていても入る。合わせて500万円。カネに変えられない何かがあったんでしょう」(大相撲担当記者)
原因は身体の不調だけではなく…
逸ノ城は、こんな意味深長なセリフを吐いている。
「もう、しょうがないという感じ。(まだ現役でやりたいという)気持ちはあるけど、体の方が言うことを聞かない」
逸ノ城をここまで追い詰めたものは、一つしか考えられない。昨年の九州場所前に表面化し、ずっと燻ったままの師匠、湊親方(元幕内湊富士)との確執だ。
「大相撲界で師弟は親子の関係とされるが、この師弟はちょっと異常です。『話は弁護士を通してくれ』と逸ノ城は師匠に最後通牒を突き付け、この1カ月間、一度も稽古場に姿を見せず、師匠は引退会見の2日前に一度話しただけで引退を認めた。引退会見の席でも、どちらもよそよそしく、もうウンザリといった感じでした」(協会関係者)
そんな冷えた関係を象徴するように、会見場の出入りは別々だった。
逸ノ城は今後について「急すぎて、まだ何も考えていない」と口にしたが、まさかプロレス入りはないですよね?
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