歴史的不漁が続いているサンマの高級化が加速しそうだ。3月24日、日本、中国、台湾など9カ国・地域が加盟する『北太平洋漁業委員会』(NPFC)で、海域全体で2023年〜2024年の年間漁獲枠を現行より約25%減の年25万トン以内とすることで合意した。
全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)によると、国内のサンマ漁獲量は年間20万〜30万トンで推移していたが、昨年は1万7910トンにまで落ち込み、4年連続で過去最低を更新した。
東京都中央卸売市場の統計では、豊洲市場の昨年10月のサンマの平均価格は1キロ当たり約990円と、豊漁だった14年同月に比べ約2.7倍も高騰していた。
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例年、サンマは秋に日本近海を南下。しかし、近年は海流や海水温の変化などで、沿岸に近寄らなくなり、分布域が沖合へ移動しているという。
産卵も1回しか望めない…
「沖合は餌となる動物プランクトンが少ないため、成長が遅れる。サンマの寿命は長くて2年。一生に2回産卵するとされていますが、成長の遅れで1回しか産卵しないサンマが増えたとみられているんです。日本近海でのサンマ漁獲量は減っているから、公海でのサンマ漁に頼るしかない。しかし、ロシアのウクライナ侵攻の影響で燃料費が高騰し、割に合わない。漁師側からすれば、NPFCで漁獲枠を増やしてもらうしか供給増の手立てはなかった。今後が心配です」(漁業ライター)
サンマの25%削減…今秋のサンマ漁は、早くも不漁が予想されている。
「日本は漁獲上限の引き下げに加えて、小型魚を保護する目的で一部の海域では6月と7月の操業を停止することになったんです」(全国紙社会部記者)
「昨年、豊洲市場に買い出しに行ったらサンマが1匹800円もした。しかも、細い。とてもお客さんに出せる代物ではなかった。近くの大衆食堂を覗いたら、その〝細いサンマ〟定食がなんと1200円。もはやサンマは高級魚で、庶民の味方ではなくなりましたね」(中央区の居酒屋店主)
秋の味覚の定番・サンマが、庶民の食卓から消えるのは時間の問題だ。
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