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北朝鮮隠しきれない米国との“戦力差”…国内ではオウムと同じ論法で国民を洗脳へ

William Potter
(画像)William Potter/Shutterstock

北朝鮮は4月15日、故金日成主席の生誕記念日「太陽節」を迎え、国営メディアはそろって日成氏を「民族再生の恩人」と称賛した。さらに「国力が最上の境地に達したのは、後継者である孫、金正恩総書記の献身が実を結んだ結果」と紹介したが、これらは祝賀ムードに乗じて、体制の正当化と国内の結束を図る狙いがあるとみられる。

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「北朝鮮から流出した内部文書によると、正恩氏が経済停滞の原因をすり替え、『敵がコロナを広げようとしている』と発言して、今後も国境封鎖を続けるよう指示していることが分かりました。かつてオウム真理教が『敵の攻撃に対抗してサリンで先制攻撃しなければならない』としたことと同じ論法で、まさにカルト国家です」(軍事ライター)

北朝鮮は餓死者が出るほど経済状況が厳しい中、ミサイル開発への国民の理解を得る必要がある。そのため今、米韓が北朝鮮の侵略をたくらんでいると危機感を煽っているのだ。

「北朝鮮は強力な米韓軍の合同演習に対し、同時多数弾の発射実験、地下サイロ(格納庫)からのミサイル発射実験、潜水艦からのミサイルや魚雷の発射実験などを行いました。これらを使って、韓国に奇襲攻撃を行う能力を高めていると主張しています」(同)

北朝鮮への警告としての訓練

米戦略軍司令部は4月11日から、核準備態勢の訓練『グローバルサンダー23』を実施。韓国軍は参加していないが、英国をはじめ主要同盟国が米軍と行動を共にしている。

「訓練の中心は戦略爆撃機の飛行、大陸間弾道ミサイル(ICBM)訓練、戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)の準備態勢点検で、合わせて『3大核戦争力』と呼ばれています。これらは特に北朝鮮が敏感になる米戦略資産で、同訓練にも北朝鮮への強い警告が込められています」(国際ジャーナリスト)

北朝鮮は対抗上、軍事的にもかなり虚勢を張っているが、米国との力の差は隠しようがない。今後も弾道ミサイルの発射実験を続けるだろうが、それは自身の首を絞め、袋小路に迷い込む危険性をはらんでいる。

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