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岸田首相“事実上の公約”「異次元の少子化対策」の実現性は?財源論は先送りで…

岸田文雄
岸田文雄 (C)週刊実話Web

小倉将信こども政策担当相が3月31日、〝異次元〟の少子化対策試案を発表した。政府はこれをたたき台に詳細を詰めるが、中身をつぶさに見ると、バラマキのオンパレード。統一地方選を意識したのは間違いない。衆院解散・総選挙を睨んだ岸田文雄首相の、事実上の公約とも言えそうだ。

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試案は現金給付政策の強化が中心。自民党内で賛否があった児童手当の所得制限について「撤廃」を明記した。現行では中学卒業までとしている支給期間も高校卒業まで引き上げる。多子世帯への手当て額の見直しも行い、2人目以降の子供に対して額が引き上げられそうだ。学校給食費の無償化も政府側は「給食を実施していない自治体もある」(官邸関係者)として慎重だったが、自民党の声に押される形で盛り込まれた。

産後の一定期間に夫婦共に育児休業を取得した場合の給付については、手取りで休業前の実質10割に引き上げるという。女性の育休取得率が8割台で推移しているのに対し、男性の2021年度の取得率はわずか14%。女性に育児が集中する〝ワンオペ育児〟をなくしていかなければ、仕事と育児の両立は実現しないという問題意識が底流にある。

財源はどこから!?

他にも、高等教育費の負担軽減、子育て世帯への住宅支援の強化なども書き込まれ、大風呂敷を広げるだけ広げた格好となっている。

24年〜26年度の3年間を集中取り組み期間と位置づけ実行に移すというが、肝心の財源については何も書かれておらず、首相の下に新たに創設する会議体で検討する。政府は当初から6月にまとめる「骨太の方針」までに予算の大枠を示すと言ってきたが、政府内には「年末の予算編成まで具体的なものは出てこないだろう」との声もある。

財源論は極力先送りしたいというのが本音。予算額が膨らんだ場合、消費税増税論議に発展しかねず、衆院解散を睨む首相にとってマイナス材料になるからだ。

全国紙厚生労働省担当記者は「メニューを全部そろえましたというだけ。ちゃんと実行できるのか分からないですね」と、実に冷めた目で見ている。

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